「空力デザインのやり方」

text & illustration by tw
Web掲載日: 2019.11.27水

空力デザイン作業を行った事のない方は、そもそも「空力デザインってどうやるの?」と思われるかもしれない。
そこで今回は、筆者の空力デザインのやり方の基本的な部分を記す。
ただし、筆者は社会的ステータスは空気力学デザインの専門家ではないし、あくまで書籍などから独学で築いた理論内容だ。
もし事象として誤っている部分があれば、大変恐縮だが、お読みの皆様の考えから、その問題部分の内容を改めてご理解頂きたい。
このページをお読みの方が空力デザインを行う際に、少しでも役に立てたら幸いである。

(所々、スケッチが少々雑かもしれないが、その部分は補正する思考をお願いしたい。)



以下、気流が左から右へ流れている状況を示す。

この物体の空気抵抗を軽減するにはどうするか?



粘性の影響で、後半から流れが剥離している。
このままだと、剥離した空気の後ろ側へと、更に空気が回り込んできて、空気抵抗となる。
進行する物体が、後ろに空気の塊(ウエイク)を引きずっているので、それが大きな空気抵抗となる訳だ。
その為、翼断面のカウリングをして、後半からの流れの剥離を抑制すると良いだろう。



採用例はフォーミュラカーのサスペンションのアーム類など。



次は、四角形の物体。



正面の高圧(正圧)も、後面の低圧(負圧)も大きい。
角で気流を跳ね飛ばしてしまい、気流が大回りしている点と、そして乱流を作り出している点も空気抵抗となる。
そこで、この物体も翼断面のカウリング処理をしよう。



内包物の四角形よりも、上下に少しだけ断面積を増したところがポイントだ。
形状に平面の区間があると(粘性の影響で)境界層が成長してしまう。
境界層が成長すると、摩擦で気流の運動エネルギーを削がれてしまう。
正方形くらいの四角形ならば、全体を曲面にカウリングした方が空気抵抗は少なくなるのではないかと筆者は考えている。


では長方形の場合。(電車やトラックなど。)



この場合は前後長が長過ぎるので、全体を曲面とする(=前面投影面積が増す)のは良い方法ではないかもしれない。



シンプルにこう。境界層の成長は、ある程度諦めなくてはならないかもしれない。
しかし、平面部分の表面をザラザラにすると、微小な渦流を発生して、結果的に流れが良くなるかもしれない。(採用例は海を泳ぐサメの肌など。)


後部を流線形にできない場合は?



上スケッチの様に、後縁に丸みがあると、コアンダ効果で空気が回り込み、空気抵抗となる。
(これは残念ながら、既存の乗用車のリヤエンドに多く見られる。これは各自動車メーカーに改善を期待したい。)



上スケッチの様に、後縁を絶壁として、気流からウエイクを切り放した方が、空気抵抗は少なくなる。
(そういった乗用車も、今では少しづつ観られる様になってきた。しかしその処理もまだ全域ではなく、徹底されてはいない。)



もっと鋭利な形状でバッサリ切り放すのが「カットスポイラー」だ。
後面を、単に絶壁にするよりも、こちらの方が空気抵抗は少なくなる。後縁を鋭利にする事で、より、気流からウエイクを切り放す事ができるからだ。
(採用例は、市販車のホンダ・インサイトやトヨタ・プリウスのルーフエンドなど。)


寸法に制限がある場合は?(四角の枠中に収めねばならない。)





ウエイクの発生量を最小限にする努力をした上で、後縁を前述のカットスポイラー形状として、気流を切り離す。
前半の高圧(正圧)よりも、後半の流れの剥離の抑制を重視した方が、空気抵抗は少なる様だ。


地面と近い場合は?
上下対称の翼断面でも、物体と地面の流路が絞られる事で気流の速度が増し、ベルヌーイの定理によりダウンフォースを発生する。





クルマの場合は地面と近いので、上スケッチの様に、上下へ流す量を調整すると良さそうだ。


筆者はこういった思考を基礎に、空力デザインを行っている。
これから空力デザインを始める方へ、このページが何か少しでも参考になれば幸いである。

(このページの最新更新日: 2019.11.27水)
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