「フロントサスのモノショック」

text & illustration by tw (2022/ 3/03木)

1989年、ティレルがフロント サスをモノショック式(中央1本ダンパー&コイル・スプリング)に。






これはサスの性能ではなくて、単純に軽量化が目的の設計だ。

この時期の彼等のF1マシンがフロントのロールをあまり許さなかったみたいで、アンチ ロール バーは固く、
では中央にスプリング&ダンパーを設置して、ロールは無視して、スプリング&ダンパーを1個にしてしまおうという物。軽く済ませたい訳だ。
(当時の最低重量のレギュレーションは、燃料とドライバーを抜いた車輌 500 kg + オンボード カメラ関連の 5 kg で、計 505 kg であった記憶。)

そのロッカーの形状は立体的となり、皿バネだけでロールの移動を制御していた。つまりロール運動にはダンパーの作用は無いのだ...。

ティレルは1989年から1993年までモノショックだったが、1994年にツインショックに変えてえらい飛躍したし、
ジョーダンも1991年にモノショックでデビューしたが1994年にツインショックに変えて良くなったし、
ベネトンで1991年に、あのジョン バーナードがモノショックにしても そこそこの車体で、
翌(1992)年にロリー バーン&ロス ブラウンがツインショックにして、その年のドライバーズ ランキングでマクラーレン ホンダのA.セナを3ポイント差で上わまった。(マクラーレンもツインショック。)
(1992年コンストラクター ランキングでは、マクラーレン ホンダ 99ポイント、ベネトン フォード 91ポイントだったが。)

なのでモノショックは駄目だったんじゃないかと私は判断している。ロール運動にダンパー作用が無ければ駄目だったでしょうね。
2021年なんかレッドブル等がロール専用のダンパーを採用していた程だ。

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