メルセデス MGP W05  text by tw (2014. 1.28火)

2014年 1月28日(火)、メルセデスのニューマシン、「MGP W05」が公開された。
この「MGP W05」の写真は、F1通信 等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。



ノーズは、フェラーリの様に上面がスラントした低い形状で登場したが、前後長が短いのが特徴だ。

ガルウイング風のカメラ・マウントはフェラーリと似ているがそれよりアグレッシブなサイズだ。
これはノーズ上面の気流進路を制御する役割がある。

何故か、フロントウイングとウイングステーとの接続部分をあえて少なくしてある。
特にこんな少ない隙間を作り出しても意味は無さそうだが…果たしてその真相は?



フロントウイングのカスケードと翼端板は凝りに凝った造りで、相当綿密に空力開発が行われた様子が窺える。
これは2009年のブラウンGP時代の活躍を彷彿させる。おそらくこういった形状とした以上、CFD・風洞のデータはかなり良い筈だ。



フロントサスのプッシュロッドの車体側取り付け位置は、モノコックの高い位置に接続してあり、後ろ側にある。
これはスラントしたモノコック上面からノーズへかけてのデザインとした為にこうなっている。

その後傾したプッシュロッドには切り欠きがある。これはアッパーアームの後ろ側アームと干渉させない為。



リヤサスの前側上下アームには、耐熱加工が施されている。

プルロッドは大きく前方へ伸ばされている。
これは内部のサスユニットをどう内包・パッケージングするかの理由で決まる。

リヤウイングの支柱は、無難に中央2本のステーで構成されている。

翼端板には気流を外側へ排出するスリットが縦に2本づつ切られている。
これはロワウイング(ビームウイング)が禁止された事による影響で排出したいのだろう。

(このページのここまでの最終更新日:2014. 1.28火 19:59


(2014. 4.12更新)

2014年シーズンが開幕し、メルセデスのパワーユニットが群を向いて強い。
メルセデス勢にはフェラーリがDRSを使ってもストレートで並べず、ルノーに至っては80馬力も劣ると見られており勝負にならない。
そして F1-gate.comのサイトにて こんな情報が入ってきた。
メルセデスは、“パワーユニットの前後に吸気タービンと排気タービンを別々に配置”しているのだと云う。

まずは今(2014)年のテクニカル・レギュレーションを確認しておこう。

・シリンダーブロックV字バンクのくぼみにターボを設置する構造は禁止。
・ターボ・チャージャーの軸はクランクシャフトに平行に設置されなければならず、マシンの中心線から25mm以上(左右へ)離れてはならない。
・排気管とタービン・システムのジオメトリーを変えることは禁止。

こう規定されている。

そして下図、ルノーとフェラーリのパワーユニットの筆者による予想図。ルノーは昨年に写真を公開しているので、それ程違いはないと思われる。
吸気エアインテークの左右を、オイル等のクーラー冷却流が通っているが、その際にエンジンカバーの幅に少しボリュームが出る。




次に、上記記事から筆者が想像したメルセデスのパワーユニットの予想図。事実と合っているかは不明だが…、




(上図) 吸気タービンのエアインテークが前方にある。これでオイル等のクーラー冷却流通路が、早い時点で吸気エアインテークの左右を通り、
これで最初の図の物よりもリヤウイングへ向かう気流を早い時点で左右合流させられる。これによりリヤウイングの効率が増す筈だ。

そして肝心なポイントは、排気管と排気タービンの熱が吸気タービンへ伝わらない事と、MGU-H(エンジン排気流 発電&ブースト補助機)を小径にできる事だ。
前者はインタークーラーの空気抵抗の軽減に寄与し、これはマシンのサイドポッド内とリヤエンドの空力効率を大幅に上げる。これは非常に重要な要素だ。
後者は、10万回転/分に及ぶと云われるタービンの高回転数の元で MGU-H の入出力コントロールを高める事ができるだろう。
これらが現状のフェラーリ勢とルノー勢との差になってはいないだろうか?

(このページのここまでの最新更新日:2014. 4.12土
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