レッドブル RB11   text by tw  (2015. 3.03火〜)

レッドブルの2015年用マシン、「RB11」は、2015年 2月1日から走行しているが、車体の形状が判り難い特別なカラーリングが施してあった。
本来のカラーリングで登場したのは、筆者が確認できたものでは3月に入ってからであった。
RB11の写真は F1通信 等を参照。それでは以下、車体の概観から筆者の私見を記す。



フロントウイング翼端板はスタンダードな高圧排出穴が開いており、これで前輪へ向かう気流進路を制御している。
カスケード内側のフェンスはフロントウイングと接続された。ここまで下へ伸ばしたのは強度の理由かもしれない。

ノーズの形状は、昨年は先へ向かって細くなっていたが、今年は幅広となり、
ノーズ先端には必要な断面積を作り出すコブがあるが、昨年より小さいサイズだ。
コブは横長とされたのがポイントで、その下の気流状態が良さそうに思う。

ノーズ上面のラインは、昨年は凹カーブから凸カーブへRを描いていたが、
今年は直線的なラインからRを経てモノコックへ繋がり、この構成はやや無骨に見える。
もっと、全体としてRを描いていなくて良いのだろうか?

まだよく見える写真が無いが、どうやらノーズホールは継続している様だ。

フロントサスは、タイロッドが上下どちらかのアームと平行の位置となった。
ホイール内でアッパーアームの高さを一杯まで高めないのならば、アームと平行の位置の方が空気抵抗は少ないので好ましい筈だ。

多くのチーム同様に、上下ウィッシュボーンはハの字の角度で取り付けられ、
フロントロールセンターが高くなる代償を支払い、モノコック下の空気を綺麗にしている。

サイドディフレクター前端の辺りの事だが、
ステップドフロアへ以降する部分の、外気と交わる箇所にフェンスの構造があり、
フロントウイングの後流の状態や、前輪が巻き起こす渦流の影響で、車体下面の気流が乱されない様に配慮してある。
ここはほぼ全チームがやってあるかもしれないし、地味かもしれないが、空力で重要なポイントだ。

サイドディフレクターは昨年以上に、下部がモノコック下へ向かっており、底下へより多くの空気を向けている。

サイドポッド両端手前の縦のベーンは、昨年と同じ構成だが、縦のうねりが無くなりストレートになった。

サイドポッドのインテークは、下の高さが少し高くされたかもしれない。
そうならば、サイドポッドのアンダーカットへより多くの空気を流し、車体底面のダウンフォース発生に寄与する。



エンジンエアインテークの下にあるオイルクーラーと思われるエアインテークは、昨年より大きくなった様に見えるが、写真の角度の関係だろうか?

レッドブルで特徴的だった、エンジンカウル後端の大砲型の排熱口は無くなった様だ。
昨年の時点で、規約でリヤにロワウイングが撤去されたので、あの大砲型の排熱の寄与度が落ちたのかもしれない。
これまでのレッドブルは、サイドポッドのカウルを巧みに湾曲させ、大砲型の排熱口へ内部エアを導いていたが、
そのメリットは、ロワウイングの下とディフューザーの向けを綺麗にできる事が大きかったと考えられる。

リヤサスのアッパーアームは、昨年はサイドポッド上方にあったのが、今年はサイドポッドの角に接している。
これは大砲型の排熱口が消えた分、普通にサイドポッドエンドで排熱する流量が増して、サイドポッド後端の高さ(つまり排熱容量)が増している事が考えられる。

今年もプルロッド前方へ伸ばしているが、これはサスの性能ではなく、内部ユニット格納の仕方による都合だ。

リヤウイングは今年も中央1本のステーで支持されているが、スワンネック形式へ発展させてあるかもしれない。
翼端板に前部に縦に切られたスリットは前後長が広い。これは後輪と翼端板の間の気流の状態に関与している様だ。
モンキーシートは現在はまだ無いが、モナコでは使うだろうか?

いかんせん写真が少ないので、後日追加される写真を待とう。
ドライバーはダニエル・リカルドとダニエル・クビアトが務める。

(このページのここまでの最終更新日:2015. 3.03火


(4/06月更新)

RB11の、開幕戦と、そして続くマレーシアでの写真を入手できた。
最初に筆者が気付いた事は地上高の前後の差(レーキ角)で、これが他車より大きいかもしれない。
レッドブルはベッテルが独走している時代からレーキ角が大きい様だが、このチームは車体底面の気流の引き抜き方に独特な技術を持っていそうだ。

そしてサイドポッド側面は、トロロッソは数年前からそうしてある様に、下部を狭いままにしてある様に見える。
現在のF1マシンのサイドポッドは、上から観ると翼断面に近い形状をしているが、
そうすると物理的に、断面積が最大になる箇所(サイドポッドの最大幅の部分)から後方へかけて流れの剥離が始まる。
そこで、サイドポッドの最大幅自体を規定一杯(1400mm)まで広げない事で、後方へ従来よりも速い気流を供給する選択が検討されたのだろう。
こうする事で、ディフューザー上面の流れを速くでき、速い流れでディフューザー下面の気流を吸い出す事が期待できる。
尚、サイドポッド側面下部を狭くするデザインは、車体底面へ横側から侵入する空気のシール度にも影響する。

ただしRB11の場合、リヤエンドのカウリングが大きい様に見える。
ラジエーターを通過した空気は運動エネルギーが低下している為、それがディフューザー上面に流れるのは空力効率が悪く、
その為、どのチームもコークボトルラインを狭く絞り込みたい訳だが、
RB11はルノーのパワーユニットの冷却要求が大きいのか、リヤエンドの幅が広く、高さも大きい。
次戦は同じルノーユーザーであるトロロッソのリヤエンドに注目し、RB11のリヤの大きさが冷却要求によるものなのかを観てみよう。

リヤにはモンキーシートが追加された。開幕戦では無かったが、これは単純に準備が遅れたのだろうか?

(このページの最新更新日:2015. 4/06月
Site TOP ジャガー レッドブル index