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レッドブル RB14   text & illustration by tw  (2018. 2.19月〜)

アストンマーチンをタイトルスポンサーに迎えたレッドブルの2018年用マシン、「RB14」は、2018年 2月19日に発表されたが、
車体には実戦用ではないと思われる特殊なカラーリングの状態で公開された。
パワーユニットはこれまでと同様ルノーで、名称はタグホイヤーだ。
RB14の写真は F1-Gate.com 等を参照。以下、車体の概観から筆者の私見を記す。



テスト走行が始まる来週まで車体の詳細な形状は不明だが、全体としては昨(2017)年のマシンと似ている様に見える。
現時点で最も大きな違いは、サイドポッド両端手前の縦のベーンの設計で、サイドポッド上面手前の水平ベーンとは接続していない。
サイドポッドのフロントエンドは新しいが、サイドポッド半ばから後部へかけては、昨年の空力コンセプトを踏襲している様に観える。

今年もノーズ先端はエアインテークになっているが、もしドライバーを冷やすだけならば大き過ぎる開口量だ。
彼等は何らかのルールの抜け穴を見つけているのだろうか?

フロントウイング両端のカスケードは3枚フラップ。
ノーズ上面にノーズホールが見えないのは、発表用でパネルで隠しているのだろうか?

フロントサスペンションの上下ウィッシュボーンの車体側取り付け部は板バネ式だと思われるが、
アッパーアームの前側アームと車体の取り付け部分は、モノコックから左右へ強固な腕を60mmくらいか伸ばして、
そこから前側アッパーアームが上下回転運動をする様に造られている様に見える。

以下 図、オレンジはモノコック(サバイバルセル)、緑はウィッシュボーン、ピンクは板バネ、黄色はアップライト側のピロボール。


(左図はストロークするとピロボールが後退し、右図はストロークしてもピロボールの前後位置は変わらない事が解る。)

モノコック(サバイバルセル)はFIAのレギュレーション通りに造ると、幅は前方に行くに従い狭くなり、後方へ行くに従い広くなる。
なので、ウィッシュボーンをそのままモノコックに接続すると、上方向へストロークするに従い、アップライト側ピボット位置は後退する。
この、アップライト側ピボット位置がストロークに従い後退させたくなければ、
上記の様に前側アームを、モノコックから短い腕を伸ばして接続すると解決する。

尚、他車同様にアームの断面が太いのは、ホイールテザーを内包しているからだ。
横から観るとアッパーアームは後傾しているが、これはアンチダイブのジオメトリー上の理由からである。

今年もリヤサスペンションのプルロッドは、大きく前方へ伸ばして車体のロッカーと接続している。
したがって、リヤのアンチロールバーはギヤボックス内にある筈だ。

ドライバーは引き続き、ダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンのペアだ。
このページは後日、車体の明確な形状が判明次第、また更新する。

(このページのここまでの最終更新日:2018. 2.19


(2018/ 2/21更新)

RB14の後ろ側アッパーアームのモノコック側接続部分の写真を入手できた。
こちらも前側アッパーアーム同様に、モノコックから短く強固な腕が伸びている事が確認できた。
そして前側ロワアームには、強固な腕が伸びていない事が判明した。
つまり強固な腕は、アップライト ピボットの後退を防止する意味ではなかったという事だ。
正面図にするとこうなる。(左図が従来車、右図がRB14の想像)



空力的にはフロントのロワアームが大きな害悪となるので、これを上へ上げて通風性を良くしたい訳だ。
これが最も重要な車体底面の空力性能に寄与する。

従来車はアッパーアームの回転半径が大きいのに対して、RB14は、アッパーアームを短くして、回転半径を小さくしている。(図のコンパスの跡を参照。)
これにより、RB14はストローク時のキャンバー変化が大きいマシンとなっている可能性が高い。
レッドブル陣営は、コーナリング時にフロントキャンバー変化を更に大きくしたい為に、この様な設計としたのではないだろうか。
何故なら、この様な短く強固な腕を用いても、それほどフロントロワアームは高く設計できないと筆者は考えるからだ。(実際、RB14は図の様なロワアーム高だ。)

このレッドブルの手法のデメリットは、アッパーアームが下へ下がる角度を強める為、フロント ロールセンターが高くなってしまう事だ。
しかし、それを無視していいくらい、キャンバー変化の最適化を求めた方がメカニカルグリップのゲインがあるのだろう。

尚、上図で、キングピンがフロント トレッドの設置中心位置よりも内側にあるのは、ホイールにキャンバー角がついている事を前提としている。
その場合、タイヤの中央設置面は、内側に寄る為だ。

(このページのここまでの最終更新日:2018. 2.21


(2018/9/12水 更新)

RB14のリヤ ディフューザーの写真をWebで観覧できた。
何か可視化の塗料を塗ってあったのか、走行後のRB14のディフューザーは、気流進路の線状に白い砂埃でラインが描かれていた(付着していた)。
その写真から判る事は、RB14のディフューザー中央部分が、その構造物に沿う様に上方へ高速で空気が流れている事を示していた。
これは空力的に、車体下面のダウンフォース増大に非常に寄与する。
では一体、2018年 規定下での、センターディフューザーが気流剥離し易い条件で、どんな方法でこの気流進路と状態を実現しているのか考察しよう。

図解。
まず、こちらが筆者がスケッチした、何の工夫も無いセンターディフューザーの図。



上図では、ギヤボックス下の、左右気流セパレーターの終結部分から「後方へかけて、」気流の圧力が増している。
これでは後流がスムーズに流れず、空力効率がよろしくない。
その原因は、センターディフューザーの上面が、凹面を描いていて、且つリヤバンパー下面が水平ラインだからだ。

次に示すのは、筆者が観たRB14リヤエンドの写真から、かなりエキサイトに想像した図である。



センターディフューザーに厚みを持たせて、上面が凸型の翼断面とした。これでセンターディフューザー上面の流速を高める事が期待できる。(机上の空論であるが。)
空力学的に基本的には、気流が通る流路は、凹面は圧力が増し、凸面は圧力が減る。
筆者の予測が当たっていれば、レッドブルRB14はこの様な、上面が凸型の翼断面とした厚いセンターディフューザーとなっているのかもしれない。

(このページの最新更新日:2018. 9.12水

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