マクラーレン MP4-28   text by tw  (2013. 1.31)

2013年 1月31日(木)、マクラーレンは2013年用マシン「MP4-28」を発表した。
「MP4-28」の写真は F1-Gate.com 等を参照。まだ現在では3枚の写真しかないが、以下、概観から筆者の私見を少しづつ記してゆく。


まず大きな変更点として、フロントサスペンションが昨年フェラーリが採用したプルロッド式となった。
これは重心の低下が目的で、メカニカルグリップは僅かにプッシュロッド式と比べ劣るだろう。
それだけに重心高の方がラップタイムに寄与するという、マクラーレン技術陣の今回の計算結果という事だ。

空力的には、プッシュロッドもプルロッドも、それぞれクリーンなエリアとそうでないエリアがあるので一概に優劣はつけられないだろう。



また、サイドポッドの上面の前縁は、フェラーリやロータスの様に、外側が後退し、内側が前進した衝撃吸収構造とされた様だ。
そうであれば、これによりサイドポッド側面の始まりを後退した位置とでき、空力デザインの自由度が増す。
内側が前進している理由は、テクニカルレギュレーションを満たす衝撃吸収容量とする為で、空力面にメリットを見出す物ではないだろう。

サイドポッド上面のラインは近年の流行通り、全体的に後部への落とし込みが大きい。
これはサイドポッドとリヤウイングがセットとなって、全体で大きな窪みを作り出す事で大きなダウンフォースを得る空力コンセプトだ。

(このページのここまでの最終更新日:2013. 1.31木 Pm 9:43


新たな写真を確認できたので以下追加更新する。
まずサイドポッド上面の前縁形状は、上記の通りであった事が確認できた。

そしてMP4-28の空力コンセプトは、トレンドに乗った、ハイ・モノコック、ハイ・ノーズとされた事が確認できた。
これによりフロントサスの上下アームはハの字の角度が強くされ、車体下部へ大量のクリーン・エアを送っている。
マクラーレンは昨年まで、低いモノコックとノーズの空力コンセプトであったので、プルロッド化よりもこちらの方が変更の影響が大きい。
この“ハイ…コンセプト”により、L/D比(空気抵抗あたりの発生ダウンフォース量の効率)が昨年車よりも大分進化しているだろう。

尚、カラーリングされているので形状が判らなくなっているが、ノーズ上面には“化粧カウル”を装着している様子だ。
これは昨年不評だった段差ノーズの改善案で、空力面のアドバンテージにならない程度の形状が許可される。

リヤビューミラーはL字のステーで支持され、このステー底面を気流進路の制御に利用している。
これは面積の制限はあるが、ミラーとそのステーは現在のフラットボトム規定に適用されていないので、空力的に工夫の価値が高いポイントだ。

今回のマクラーレンで気になるポイントの一つが、サイド・ディフレクターのRの描き方だ。
これは気流を上下と外側へと跳ねるパーツだが、外向きから内向きへとRが戻る地点が早い(=手前の方の)位置となっている。
これは車体底面へ流れ込む気流進路に非常に大きな影響を及ぼすポイントで、他車とMP4-28のどこが違うかと言えばココが大きな違いだ。
トレンド通りのハイ・モノコック、ハイ・ノーズとしてきても、サイドの流れに独自色を出してくる辺りがトップチームの開発陣の魅せ処か。

(このページのここまでの最終更新日:2013. 2.01金 Am 0:34
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