アルファタウリ AT02

text by tw (2021. 2.19金)

アルファタウリの2021年用マシン、「AT02」が2月19日に発表された。
パワーユニットは引き続きホンダを搭載する。
新車「AT02」の写真は、F1-Gate.com 等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。



ノーズ先端は、規定最大まで幅を広げ、中央にコブを設け、レギュ下で下流の増大に努めている。(前から見た写真参照)
ノーズ先端の幅を規定で最大に広げた理由は、空力的に左右のステーと中央のコブとが干渉するからだ。
その間を広げる事で、そこで気流を減速させないで、後方へ速い(遅くない)気流を供給しようと務めている。

ノーズの、もう少し後方では、下面に流行のヒレがある。これはマクラーレンMCL35Mについてを参照。

サイド ディフレクターは、ここまでかという間隙の処理が行われている。
ここまで必要なのか? ここまで裏は気流が剥離するのか? と、疑問は尽きないが、これが今のF1のトレンドの形状である。


リヤサスのアッパーアームは水平に近く、ドライブシャフトはハの字に降りる形となっている。
ドライブシャフトの軸(の後方)には、トー コントロール アームも含まれているだろうから、これはサスペンションの力学でこれは正しい。
ただしロールセンター高は高くなる。

ウエイスト ゲート バルブの排気は、アッパーアームの下側を通る。これは空力に寄与しようという狙いはなさそうだ。

後ろから見たディフューザーの曲面は、形状的に、これは明らかにA.ニューウェイのデザインだと筆者には判る。これはレッドブルの資産を活用しようとしている。

リヤディフューザーの前後長を観る限り、そのテクニカル レギュレーションは、
昨(2020)年までの「後輪車軸から後方へ350mm」から、
現在(2021年)は、「後輪車軸から後方へ300mmまで」、と改められているかもしれない。
これは確かにディフューザーによるダウンフォース生成の削減に寄与するかもしれないが、しかし一方で空力挙動が敏感になる可能性がある。
なので、ダウンフォース抑制には、ディフューザーの前後長ではなく、高さを規制した方が良かったのではないかというのが筆者の意見である。

と云っても、車体のダウンフォースを削減するならば、車体底面よりも、車体上面のダウンフォースを削減した方が、コース上での追い抜き増加に効果的だと云っておきたい。

で、アルファタウリだが、ドライバーはピエール・ガスリーと、F1へ昇格した角田裕毅のペアだ。

(このページのここまでの最終更新日:2021/ 2/19金)


(2021/ 2/20更新)

F1通信に大きな写真がアップされた。
この写真から判る部分を観ていこう。

フロントウイング翼端板下部のトンネルは、後部が低く沈み込み、後端でガーニーとなっている。

フロントサスペンションは、今年もレッドブルの古い方のタイプを使用している模様。
アッパーアームがマルチリンクで、アップライトの取り付けは、前側アームが上側で、後ろ側アームが下側だ。
タイロッドはロワアームとツライチ。

ノーズホール排出口は昨年同様、間隙フラップ状となっている様に見える。
これは昨年もそうだったがレッドブルよりも開口幅が広く、より多くの気流を抜いていそうだ。

ノーズ上面からモノコック先端にかけて、急に段があり、不格好だが、
これは現在のテクニカルレギュレーション通りに、というか規定を最大範囲に使ってモノコックをデザインすると、強制的にこの形となってしまう。



サイドディフレクター後部から続く、縦のサイドベーンが前後2枚あるが、
この2枚を繋ぐ、多数の水平フィン(厳密にはうねった形状)があるのが確認できる。
これはメルセデスが先鞭をつけたと筆者は記憶している。
これの働きはまだよく解らないが、多段フィンを通過する気流を上下に蹴っているのか、
それとも意図的な小さな渦流を発生させて何らかの空力利用を持たせているのか等が想像できる。

尚、縦のベーンの後ろ側は、アンダーパネルと連結しておらず、モノコック側面の上側クラッシャブルストラクチャーで固定されている。

ここ数年で肝心な、サイドポッド上面から側面への“うねり”を観たいところだが、アルファタウリのカラーリングではどういう形状なのか判り辛い。

リヤサスのプルロッドの車体側取り付け位置は、少しバルジ(膨らみ)がある様に見える。
位置的に、ステップドボトムの段差部ギリギリまで攻めた箇所にロッカーがありそうだ。

昨年コンストラクターズランキングで7位だったアルファタウリだが、その一つ上はフェラーリだった。
今年も中団は混戦が予想され、そこから頭一つ抜け出すには相当なハードワークが必要そうだが、
ダイナモでは期待が持てるという今年のホンダの新しいパワーユニットが、アルファタウリのアドバンテージになるだろうか?

(このページのここまでの最終更新日:2021/ 2/20土)
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