「カーボン ブレーキ温度の冷却稼働 調整案」
アイディア & イラスト & テキスト by tw
(Web公開日: 2023年 6月10日 土曜)


先日の2023年 5月のF1モナコGPの決勝レース中に結構な量の雨が降ってきたが、
アルファタウリの角田選手のマシンが、まるでブレーキの利かない状態となってしまった。
これはカーボンブレーキの「グレージング」という現象が起きていたとの事で、
筆者は32年程F1を観て来たが今回初めて聞いた言葉な気がする(汗;)。

その「グレージング」とは、今のカーボンブレーキのディスク&パッドの素材の特性で、
「カーボンブレーキの作動温度領域を下回る低温状態で、ブレーキを弱いペダル踏力で長い時間ずっと使っていると、
ブレーキ表面がツルツルな状態となり全然効かなくなる」という事らしい。 それ危ないじゃないですか!(汗)

(下図の黄色い部分がブレーキダクト)


そこで今回、筆者が発案したアイディアが以下の物。ダクト内へ入る冷却空気量を調節させるベーンを設けた。
下図のタイプは、雨でピットインして、メカニックが上部のスクリューを回す機構だ。現行のレギュでも合法かなと思う。
メカニックが手作業でダクトへテープを貼り付けるよりも短時間で調整できるし、開口量の精度も出せる。


下図は、車体を上から見た構造図。
スクリューを回転させると、昔のサスのイナーターみたいなパーツが前後方向へ移動し、ロッカーと一体のベーンを開閉させる。
下図でのベーンの開口量は、オレンジが最大で、ピンクが最小を示す。


(下図) ただし、この機構の注意点として、スクリューを回転させれば、力が横方向へと…、


(下図) ベーンと一体のロッカーを前後方向だけでなく、横方向へも動かそうとする力も加わる筈で、
これはこの機構を作動させるにあたり、力学的に問題となる可能性がある。ガタついて上手く作動しないかもしれない。


(下図) それならば、前後へ移動するイナーターみたいのと一体の「縦(上下)方向のシャフト部分」の寸法を長く設計すれば動きのガタは解消するかもしれない。


それでも上手く動かない場合は、上下へこういう左右方向のプレートロッカーをサンドイッチすればスムーズに動作できるかもしれない。

*尚、上の4つの図は、このページを説明する都合で、上下方向を実際とは反対で描いております。
実際の構造は、スクリューはダクトの上部にあり、縦のシャフトは下側へ向いていた方が良さそうです。
(これはピットストップ時に、メカニックが作業するにあたり、スクリューはダクトの上部にあった方が、上下の高さの理由から作業し易い為。)



そして、レギュでブレーキダクトを可変できるとなれば、F1の空力デザイナーはそれを利用して、車体の空力性能のアドバンテージを得ようとするに絶対に間違いないので、それを制限する為に、
レギュで規制し、「ブレーキダクト開閉ベーンの回転軸は 縦方向だけに限定され、それはリファレン スプレーンと垂直でなければならない。(公差±1度まで許される。)」とする。



更に、「ベーンを開閉させるスクリューの回転軸は、リファレン スプレーンと水平でなければならない。(公差±1度まで許される。)」と規定する。



今回、筆者がこのページで上図までに示した技術アイディアは、現在(2023年)のF1テクニカル レギュレーションで許可される(様に文面が後に書き換える事は可能な)構造かと思うが、
もう現在、F1ファン歴32年程の老いた筆者には、技術的な創造力において年齢的に明らかに衰えて居るし、今のこれが限界であるのかもしれない。
おそらく、今回の件のアイディアに対し、もっと簡素で、小型で、軽量で、効率的な構造があるに違いないし、または、後から生み出されるに違いない。
そもそもグレージング対策に、より優れたレギュ案を思い付く人はいくらでも居そうに思う。

そして最後に、実は、本ページで筆者が最も云いたい事は次の事である。筆者はF1グランプリとは元々、自動車レースの最高峰であったと認識していたが、
現代のF1はレギュで空力部品の稼働を禁止していても、レースをショーアップする要素として、例外としてリヤウイングのフラップを開くDRSは導入されている。
それならば、ブレーキ部品は安全面の問題なのだから、レギュで例外的に、
「走行中に雨天となった場合に限り、ブレーキダクト開口量の可変が許可される。」と改定しても、そろそろ良いのではないだろうか?

そうなれば、上図で筆者が描いた様なマニュアルで機械的で複雑で重たい物よりも、
もっと簡素で、油圧シリンダーや電気モーターで動作する、車輌側から制御できるアクティブなシステムへ『進化』させた方が良いのではないだろうか…?と想う次第だが、余計なお世話だろうか。

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