FRIC サスペンション・システム by tw

考案日:2013. 5.18土
Web公開日:2013. 5.21月

今季開幕から、メルセデスとロータスの「FRIC」というサスペンション・システムが話題となっている。
FRICとは、Front and Rear Inter-Connected の略で、フロントサスとリヤサスの相互接続システムの事で、油圧の配管で繋いである。
このシステムを使用する事で、ブレーキング時や加速時のライドハイト(地上高)と車体傾斜角を制御し、空力性能に寄与する。

このシステムは完全に受動的なので、可変空力禁止の規則下でも合法だ。
ロータスは2011年以降このようなシステムを開発、使用していると見られている。


ではFRICとは具体的にどの様な仕組みのデバイスなのだろうか?
左図が筆者の考えた、最も簡素なFRICの構造だ。
このパーツを、フロント&リヤサスのピッチコントローラーに接続するだけで作動する。

これは油圧シリンダー以外には機械部品を使用せず軽量コンパクトで、
互いの油圧シリンダーの径とピストンの面積の違いから、作用する力の比率を設定できる。



F1界でのFRIC登場以前に、筆者も過去に何度も前後関連サスペンション機構を考案、スケッチしてきたが、
その多くの物はアンチロールバーの様に、トーションバー等の機械部品を組み込むシステムで、少なくない搭載スペースが必要で、且つ重く、
そういったデメリット面から、今回の簡素なFRICの方がレーシングマシンには向いていそうだ。
何事も、必要以上に難しく考え過ぎない事が、問題解決に大切だとつくづく感じさせられた。

(このページの最新更新日: 2013. 5.21火)
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