ルノー R25   text & illustration by tw  (2005/ 1/25〜)


1月25日から2005年用「R25」のテスト走行が開始された。
サイドポッド上面を全体的にシャークルーバーとしてあるのが特徴的。

フロントウイングは地上効果を得る為に、中央を大きく湾曲させて下方へ近づけた。
低くしたウイング中央部は路面に対して平らではなく、急なカーブで湾曲しており、
空力的に敏感にならないか心配なデザイン。

ウイング中央は前進させて、ノーズ先端よりも前に出してある。
フロントウイング・ステーはRをつけて強度をつけて、ノーズからウイングへ向けて前進させている。

ノーズは昨年のマクラーレン程ではないにしろ、近年のF1マシンと比べればとても細い。
今年も下面はスラントさせて、フロントウイングからの気流を向かえている。

フロントウイングの両端はまた一段持ち上げてある。
これは左右から吸い込んでしまう翼端渦を制御する為と思われる。

フロントウイングの翼端板は、正面から見ると、上方をやや内側へ倒した形。
横から見ると昨年同様に前端を丸く切り欠いてある。
翼端板の横のフィンは無いが、フロントウイング全体が50mm高くなった影響だろうか?
翼端板下端のトンネルは昨年同様。



この部分をよく確認できる写真を筆者はまだ入手できていないので、
左はある程度想像した図。(←CG作成の途中だがup)

モノコック下部のロワアーム取り付け部は、
V型のキールとなった模様。

実際のR25の構造とこの図が合っていれば、
ノーズ下面とキールの内側はトンネル状となっており、
ここをフロントウイングの後流が通過する。

(また後日更新予定)


フロントサスを正面から見ると、今年もアッパーアームの角度はノーマルなジオメトリー。
ルノーは、同じミシュラン社のタイヤでも、
ウイリアムズや昨日登場したマクラーレンらと比べると使い方が異なるのだと思う。

近年のF1マシンは正面から見てロワアームの角度が判り辛いが、
他の角度の写真から見た感じでは、
ルノーはウイリアムズのタイプよりフロントのロールセンターは低いと思う。

一般的にロールセンターが低ければ、コーナー入口の反応は穏やかになり、コーナーでの限界は高く、
逆にロールセンターが高い場合は、コーナー入口の反応は敏感になり、コーナーでの限界は低くなると思う。



前輪内側のディフレクターは低め。
筆者はまだよく確認できる写真を入手できていないが、細かく凝った形となっている様に見える。

今年もサイドディフレクター式の空力コンセプト。
サイドディフレクターの後端には、斧型のフィンが前方へ向けて突き出してある。
この斧型のフィンは、サイドディフレクターの後端から上下へこぼれる気流を制御している。



サイドポッドの下部の絞込みや、インテーク形状は昨年同様の形だが、
サイドポッドの後半を全体的にシャークルーバーを開けた。

ラジエーター・チムニーの排出口は上へ向けたタイプ。
排出口はシャークルーバーとなっている。これは1年前から試していた。

昨年同様、サイドポッド上側の小型ウイングは大きく跳ね上げた物だが、
サイドポッド全体がシャークルーバーとした為、このウイングのステーがセンター部分となった。

ここへ少しダウンフォースが加わる様になった為か、
フェアリングフィンとフロアパネルの間には補強の棒が付けられた。

コークパネルの後端は、後輪よりやや手前の位置。



サイドプロテクター上面の後側の落とし込みは、Rは穏やかだが、
サイドポッド上面と合流する地点はあまり後ろまで延ばしてはいない。
サイドプロテクターは車体上面の圧力制御に関係する重要部分だと思う。
下手に車体上面の流速を上昇させてしまうとリフトフォースが発生してしまうが、
上手く空気の流れをデザイン出来れば、リヤウイングとセットになって凹カーブを形成し、
正圧のダウンフォースを発生できるかもしれない。

ロープを通す穴は普通にモノコックを貫通するタイプ。

ミッドウイングはダウンフォース発生型の形で、規定で許される範囲よりも幅狭で、
位置はインダクションポッドの前寄りに装着している。

排気管はチムニー・カウルの無いタイプに戻った。



リヤサスは写真ではロワアームが太く見える。

サイドディフューザーの角は比較的尖っていて、先日のトヨタの様に丸みをつけてはいない。
ディフューザーで車体下から吸い上げられる空気の量は、
ディフューザーで広げた空間の大きさが重要となる筈なので、筆者はこのルノーの形の方が正解だと思う。

センターディフューザーは、筆者はまだ詳細を確認できる写真は入手できていないが、
真後ろからの写真から、凝った空力となっている雰囲気が感じ取れる。
横から見ると、側面のフェンスには窪みがつけられている。



リヤウイングは昨年同様。アッパーウイングの翼形自体は普通だが、
このウイング両端と翼端板とを凝った形でつなげて横側へ通路を開けて、
ウイング上面の高圧を外側へ排出して、翼端流を制御している。

翼端板の後端はカーブさせている。

先日のトヨタやBARの様にアッパーウイングからのステーは使っていない。



今年もルノーは空力効率の優れたマシンとなっていると思う。
昨(2004)年、車体特性が過敏で扱い難い点が問題となって現れたが、
この課題はどのくらい改善されているだろうか?

そして、ルノーの注目はエンジンの出来だと思う。
やはり力の接近したライバルと争う際にこれもポイントとなってしまう。。

最初の25、26日はF.アロンソがテストし、27、28日はG.フィジケラが乗る予定との事。

(ここまでの最終更新:2005/ 2/ 6


[Rd.1 オーストラリアGP (メルボルン市街地)  3月 6日(日曜)の写真から]

スタートの加速力は、他車と比較すれば良いものの、昨年までの圧倒的なアドバンテージは無くなっている様に見えた。

フィジケラは速さと安定度と何の問題も無くポールトゥウィン。
レース後もタイヤは綺麗な状態で、ミシュランが事前に想定した気温よりも低かったかもしれない。

土曜の予選1回目が雨となった影響で予選13位となったアロンソは、10位グリッドのマクラーレン(ライコネン)がスタート出来なかった事から12番目からのスタートとなり、16周目にザウバー(J.ビルヌーブ)を、そして29周目にトヨタ(トゥルーリ)をコース上で追い抜き、3位でチェッカーを受けた。
このレースでこういったコース上での追い抜きが出来たのは、ほぼアロンソだけだった。

ミッドウイングはエンジンエアインテークの横にあり、翼断面はダウンフォース発生型。



ルノーは今季のマシンでも、モノコック後面からギアボックスへのフレームで剛性を高めている。フレームの素材はカーボンの模様。
このフレームの接続箇所は、前側は、モノコック後面の上端(サイドプロテクターの辺り)で、
後ろ側は、ギアボックス上面のリヤサス・アッパーアーム取り付け部の金属部品へ接続してある。
この後ろ側はピボットで接続されてある事が確認できた。

リヤサスのレイアウトも、この数年のマシンと変わっていない模様。
プッシュロッドロッカーの配置が、一般的なレイアウトとは前後逆としてあるのが特徴である。

ロッカーダンパー、アンチロールバーはギアボックス上面に設置してあり、トーションバーは縦置きでギアボックスの両側にある。

ピッチ制御ダンパーの接続軸に、縦のトーションバーを組み込む事でアンチロールバーとしている模様。



[Rd.3 バーレーンGP 4月 2日(土曜)の写真から]

(澤田賢志カメラマンによる「サーキット便り」バーレーン土曜の写真 を観た筆者の私見)
 (サーキット便りは、F1速報インターネットマガジン内にあります。)

[ページの上から5枚目の写真]

今年ルノーがサイドポッド上面を鮫エラ状にしている狙いは、
ラジエーターを通過したエアは流れが遅くなっているので、 サイドポッド上面にこの遅い(=圧力の高い)流れを羽織らせてダウンフォースにしているのではないかと思う。
だとすれば鮫エラも車体空力設計の一部なので、冷却温度の調整目的だけで鮫エラの開口量を変える事はしないと思われる。

ラジエーター・チムニー排出口をフィン状としている理由は、
排出する熱気の流れの方向が乱れない様に安定させる為だと思う。


[6枚目の写真]

フロアパネルに厚みを持たせて縁に丸みをつける方法は、筆者も昔にデザインした事がある。
車体下の低圧が、フロアプレート横側から空気を吸い込んでいるが、これが過敏に変化しない様にする為。
こういった形状としてくる最近のルノーは、作り手がきちんと空気の流れを見つめて、創造性を持って工夫しようとしている姿勢の表れだと思う。


[7枚目の写真]

サイドディフレクター後部から前方へ突き出しているプレートの後縁ガーニーは、
プレート後縁で気流を鋭利に切り離すのではなく、細かな渦流を発生させて、気流変動を穏やかにする目的だと思われる。

写真左に見える、サイドポッド前端下部の前にある小さなプレートも要注目ポイント。
これは車体下への流し方を制御する為の重要部分。


[8枚目の写真]

サイドポッドを通る流れが分かり易いアングル。
前輪内側の背の低いディフレクターは細かく凝った形状。 Vキールとロワアームも観える。



2005/ 7/20 [サイドポッド・ルーバーについての考察追加]
車体へ直接作用するカウル間近の流れは低速(=高圧)の流れとし、
その若干上流では(サイドポッド上方における)普通の流速、としている可能性。
(=サイドポッド上面高圧での積極的なダウンフォースの獲得と、リヤウイングへの通常流の供給の両立。)
車体全体で一つウイングとして見立て、サイドポッド上面を低速の流れにしたい事はしたいが、
その際にサイドポッド上面で低速過ぎて失速する部分が現れてしまい、それを防止する為に
コンスタントに低速流を保ちつつ後方へと流す工夫、としている可能性。
(=リヤウイングへの良質な気流の供給を目的としたもの)
あの形状でラジエーター排熱を行っても、特に空力デザイン面の悪影響が無い事から採用している可能性。
それらを上手く組み合わせた空力のパッケージとしている可能性。



Rd.4 サンマリノGPの写真から (5/ 4更新分)

新型のフロントウイングは上下2段式で、
左右の翼端板から上段フラップへ湾曲してつながるラインを描く物を投入した。

後輪のブレーキキャリパーの位置は、下側でやや後ろにレイアウトしてあるのが確認できた。



Rd.5 スペインGPの写真から (5/ 7更新分)

モノコック前端の上面両端に小さなガルウイングを装着した。
尚、前戦から投入した2段型フロントウイングは引き続き使用している。
(写真は「サーキット便り2005 スペインGP金曜日」のページの最下から5つ目の写真を参照。)
これはフロントウイングが跳ね上げる気流と、
そしてモノコックの側面から上面へ向かう気流の変動を抑える目的と思われる。

昨(2004)年にウイリアムズもこの部分に水平の狭幅ウイングを装着したが、
今回のルノーはウイングをカーブさせた事で翼幅に長さがある。

筆者も以前、似た形状をデザインした事がある。(下図)

(筆者のアイデア)



Rd.6 モナコGPの写真から (5/21更新分)

サイドポッドのフェアリングフィンは下段フィンが追加されて2段構成となった。
上段側は、後輪内側フェンスへと続くR形状を維持しながら、巧みに間隙フラップ状となっており、
且つ上部区間は外側に翼端板が追加された。

金曜フリー走行の段階ではラジエーターチムニーの排出口は開けていない様に見える。

ダウンフォース発生量を増す為に、テールライト部分は流行のミニ・シャドーフラップを追加した。
支柱はBAR同様にセンター1本式。



Rd.6 モナコGPの写真から (5/22更新分)

新型のフロントウイングを投入した。
正面から見るとメインウイングの湾曲ラインや、翼端板が変更されている事が判り易い。
翼端板は90年代中頃に見られた様な手法で、メインウイングの下側よりも上側の方を狭めてある。

土曜日のラジエーター・チムニーの排出口は小さめ。



Rd.6 モナコGPの写真から  (5/29更新)

新型のフロントウイング翼端板は、両サイドがトンネル構造となっており、
フロントウイング下面の両端部分の気流が後方(=翼端板の外側)へ筒抜けるデザインとなっていた。


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