ルノー R29   text by tw  (2009. 1.20)


2009年 1月19日、ルノーの2009年用マシン「R29」が発表された。
写真は、GPUpdate.net等を参照。以下、概観から筆者の私見を記す。



ノーズ先端は幅が広い。そしてこのフロント部分にはナイスなアイディアが用いられている。
ノーズ両端から下方へ垂直のフェンスを設け、
左右のフロントウイングのフラップが巻き起こす渦流の影響を受けないようにしているのだ。
このアイディアは他チームも真似するかもしれない。

フロントウイングの翼端板は、筆者が昨年に空力デザインしたものとほぼ同一の考え方の物となった。
本サイトの、昨(2008)年8月22日に掲載したデザイン昨(2008)年11月20日に掲載したデザインを参照。
これは翼端板の裏面で前輪を隠し、翼端板のスリップストリームで前輪に気流が当たるのを抑制する手法だ。



サイドポッド前側は凝った三次元デザインとなっている。
全体的に前方からの気流を斜め下へ絞り込んで整流しようという意図が観てとれる。
メインのエアインテークの下には、小さなエアインテークが開けられている。これはKERSの冷却と関係があるのだろうか?



サイドポッド上面は全体的に外側へ傾斜している。
これではサイドポッド上面の高圧流が外側へこぼれてしまうので、このR29のデザインには筆者は少々懐疑的だ。

サイドポッド上面は後方へ向けて大きく下降しており、リヤサスのアッパーアームやプッシュロッドがカウルの上にある。
ロワアームはサイドポッドの上下を別けるカウリング位置に貫通している様だ。

エンジンの排気管エンドは、上方排気で、左右の位置はかなり車体中央へ寄せられた。

リヤウイングの翼端板は、ここ数年使用してきたルノー独特の物ではなく、一般的な形状へ戻った。

(このページのここまでの最終更新日:2009.1.20


(2009/ 4/05日・更新) 開幕戦の写真から。

インダクションポッドの左右には、ロールフープ上のオンボードカメラの下方に、カメラと同じ幅のミニ・ウイングを装着した。
このウイングはダウンフォース発生型で、上下高さは100mm程だろうか。翼端板は装着されている。
ウイングの装着位置はカメラ前端よりやや後部で、カメラの空気抵抗を純損させない様にする目的だと考えられる。

2台共KERSを使用した。
今宮純氏のレポートによると、このレースではKERSを使用した全車が、
回生発電ブレーキング時の不安定な挙動に悩まされていたそうだが、
フェルナンド・アロンソは何とかドライビングテクニックで対応できていた様だ。

(このページのここまでの最終更新日:2009. 4.05


(2009/ 5/02土・更新) 第4戦バーレーンGPの写真で確認。

リヤ・サスペンション・ユニットは、
ここ数年ルノーが使い続けてきた左図のタイプから、
R29では異なるタイプへ変更が施されていた。

(今回は詳細が解る写真を入手できなかったのでスケッチは掲載しないが、)
R29では、左右のダンパーの向きがこれまでとは異なり、
ギアボックス上面に、横向きに搭載されている。

スプリングはトーションバーを縦置きにしてある事は同じだが、
横から見た角度が大きく後傾させてロッカー(ベルクランク)に接続している。

トーションバーの長さは、ロッカーを頂点に、
ギヤボックスの下部まで伸びている長いタイプだ。
この場合、トーションバーの耐久性は高くなるが、
重量は重くなってしまうデメリットがある。

そしてギアボックス側面にはトーションバーを納める膨らみがあり、
これにより若干だがサイドポッド内の気流を阻害してしまう。
よってこの部分ではマシンの速さよりも信頼性を重視した造りとなっている。


(このページの最新更新日:2009. 5.02

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