トヨタ TF103   text by tw  (原文:2003. 1.10 / 再編集:2004.12. 7)


(ダウンフォース= DF、空気抵抗= Drag、
 フロント・ウイング= Fw、リヤ・ウイング= Rw、レギュレーション= レギュ と略す)

TF103は昨年型より余裕を削り、前後重心位置に向けてよりコンパクトに物を詰めた印象。
フェラーリF2002的な箇所が多いが、大きく異なる点は、

「1」サイドポッド上面を後方へ向けて大きく落とし込ませていない事と、
「2」サイドプロテクターの膨らみが後ろ寄りな事。

「1」については、大きく落とし込めば 流速低下 → 気圧上昇 → DF増大し、
代わりに後方への流れ方が遅く、上手く流すにあたって難易度がやや高くなると思う。
よって単純に大きく落とし込めば良いものとは言えないが、
現在(2003年)のレギュ下で、車体下面でのDF獲得は常にやれるだけ頑張っている状況なので、
車体全体のDF最大発生量は、車体上面のDF設計が左右すると言える。

大きな落とし込みは、カウル内の流れの理由からしようと思っても簡単に出来る事ではなさそうだが、
それ以前に「2」となっているので圧力分布の関係で出来ないかもしれない。
最初から落とし込みの小さい設計と決めて「2」としたのかもしれないが、
プロテクターとしての安全性は劣る筈。



去年狭くて疑問だったFwのフラップとノーズ下との空間が広がった。
F2002似のハイ・モノコックとノーズラインだが、ノーズ下面は水平に近い。

前輪がモノコックに対して、去年より前方へ行った様に見える。

フロント・ロアアームはセンターキール型。
(FwによるDF発生量はレギュ内でまだ余裕を残しているので、
 ツインキール路線が有利とは限らないかも知れない。
 ツインキールが有利なのは、フロントウイングのDFが足りない場合だと思う。)

昨年有ったモノコック上面前端のプリロード・アジャスター(だと思う)が見えない。

空力と剛性面で疑問だったコクピット開口部の前側が普通化。



ディフレクターは昨年終盤にウィリアムズ風にしたが元に戻った。モノコック寄りに設置。
流行のステップフロア手前のプレートは無い。空力開発遅れぎみ(?)。



サイドプロテクターは、レギュ・フィンを使い最大高を下げ、
側面には膨らみを付けサイドポッド上面前端の膨らみ方と合わせてバックミラー後の整流が考えられた様子。
しかしプロテクター全体が後ろ寄りで、
リヤカウルへのプロテクターの絞り込みが後ろ寄りとなっており、
(これはサイドポッド上面の落とし込み開始位置と関連すると思う)
結果、低DF/低Drag型の流れ方かもしれない。



インダクションポッド側面の底部とサイドプロテクター間の溝は浅くなった。

横から見たインダクションポッド上端ラインの落ち込みはF2002より急なカーブで、安定して流れるか疑問。
DFを得る為に、ここからRwへ向けて遅く大きな凹のカーブを描く流れとしているかもしれないが、
絞り込みが後方寄りなボディ上面の流れと合うかどうか。

ロープをかける所は2001年からのマクラーレン式。吸気を考えると合理的だと思う。



サイドポッド上面は後方への落とし込みは少ない一方、前端は厚く上方へ多く流すF2002的。

昨年同様コークボトル絞り開始位置は後方寄りでDF少なそう。

サイドポッド上の小型ウイングも、ステーと翼をRで繋げたF2002型。
これは車体上面の流れを乱さない様に翼端渦を抑えた理想形に思う。

後輪手前のフェアリングは昨年同様、全体的に丸い形状で、DF少なそう。

排気デザインもF2002式だが、やや外側に向けてある。



リヤ・アッパーアームが前進。空力上、カウルとの位置関係は未解決のままの様に思う。

プッシュロッドを立たせる為にリヤカウルの膨らみが大きいが、
現在の車体後部のレギュ下では、あまりフラット化しても得るものは少ないかもしれない。

昨年、気流の邪魔に思えたミッション横のダンパーが移動したかが注目。

リヤのロワウイングは少し前進した位置。
翼端板下の折り返しもF2002風。



[総括]

全体的に低Drag/低DF型な空力に思う。
空力デザインは昨(2002)年よりかなり向上した様に思うがまだまだトップとは差が有りそう。
走行中の車体の動き次第で空力性能は損なわれ、開幕戦まで速さは判らないものだが、
現時点で予想するなら中団で結構速いマシンに思う。

(このページの最新更新日:2004.12. 7

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