「乗用車の改造リヤウイングについて」

考察 & スケッチ & 文章 by tw (りゅーき)
このページへの掲載日:2025年 1月14日(火曜)


国内で、市販乗用車を改造してタイムアタックするカテゴリーがあるが、
例えば下図の様な形状のクルマだと、どうなるか?、が今回の解説だ。


(下図) 車を前から見て、リヤウイングの翼端渦はこれくらいだろうか?
パワーユニット出力が小さい程、空気抵抗の少ない、薄いウイングしか使えない。


下図はネットで見かけた物のラフ・スケッチだが、
もしも、下図の様な翼端板を実戦投入すれば、どうなるか?を以下述べる。
(下図) 空力的に、オレンジ色の部分が必要なエリアで、黄色い部分が全く必要の無いエリアだ。


(下図) 2004年以降のF1のリヤウイングがこんな感じだった記憶。
当時、翼端板のエリアの幅20mm以内を、後方へ延長可能なレギュレーションとされていた。
そこで、BARを始め各チームが翼端板の上側を切り欠く空力デザインを発案し、
これでリヤウイング下面の気流を外側へ排出し、更なるダウンフォースの獲得に成功していた。


(下図) F1はこれくらいの巨大なリヤウイングなので、翼端渦も強烈に外側へ吹き飛び、
「よって、その内側に空間が出来る」のだ。


(下図) まあ、こんな感じで、下面から「吸い出せる空間」が、当時 生じていた。


なので、F1の様な高さの大きいリヤウイングに限って、翼端板の上側を切り欠く構造が空力的に効果を発揮する訳で、
乗用車用の薄いウイングで、ここまで翼端板の上側を大きく切り欠いても、空力的に意味は無いだろう。

(上図) そして、この翼端板の後方の下側のスリットについて。


(上図) 2009年以降のF1はこんな感じだったかな?と曖昧に記憶して居るが、
翼端板の下側の「縦の連続スリット」は、ディフューザーへ作用し、車体底面の空力を改善する目的だった。


(上と下図) なので自車のディフューザーまでこれだけ遠過ぎる距離なので、ディフューザーへ作用する事は無いので空力的に無意味に思える。



(上図) 結論として、これくらいのエンドプレートが性能的に最適なのでは?と思う次第だ。

基本的にレーシングカーは低重心と慣性モーメントの軽減が重要だが、
リヤウイングは重心位置から最も遠い位置にあるので、そこが無駄に重たいのは致命的な筈だ。

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