佐藤 琢磨 (さとう たくま) 29歳。身長163cm/体重60kg 1977年 1月28日、東京生まれ。 1997年 SRS-F(鈴鹿・レーシング・スクール・フォーミュラ)を首席で卒業。 1998年 全日本F3選手権に参戦開始したが、免停が発覚し日本国内でのレース参加資格を失い、渡英。 2000年 英国F3選手権に参戦開始。 2001年 英国F3で日本人初のシリーズチャンピオン獲得。 2002年 ジョーダン・ホンダからF1デビュー。 2004年 BAR・ホンダで、米国GPで3位表彰台を獲得。 2005年 BAR・ホンダで、獲得ポイント1、ランキング23位 |
井出 有治 (いで ゆうじ) 31歳。身長178cm/体重63kg 1975年 1月21日、埼玉県生まれ。 1990年 カート・デビュー。 1994年 全日本F3選手権へ参戦。 1999年 フォーミュラ・ドリームに参戦し、シリーズチャンピオンを獲得。 2002年 フランスF3選手権へ参戦、シリーズ7位 2003年 フォーミュラ・ニッポンにデビュー。 2004年 フォーミュラ・ニッポン年間総合3位 2005年 フォーミュラ・ニッポン年間総合2位 |
スーパーアグリチームは、旧アロウズ・チームのファクトリーのリーフィールドで、
2002年のアロウズのシャーシ「A23」を、2006年のF1車輌規定に合致させる改造を施した。
その改造内容は、モノコックと衝撃吸収構造の強化と、ボディワーク形状の対応等である。
そして、ボディワーク形状の変更により失ったダウンフォース量を増す為に、空力面の開発も行われ、
ローラ社の施設で風洞実験が行われたとの事。
2002年当時と現在(2006年)ではボディワークの規定が大幅に異なり、
単に車体形状を規定寸法通りに対応させただけでは、約30%ものダウンフォースを失う。
その為、サーキットを走行する為に必要な性能として、少しでもダウンフォース量を向上させる必要があった。
このマシン開発体制は、F1経験のあるヨーロッパ人のエンジニア達と、
ホンダの日本人エンジニアとの共同作業となっていると思われる。
そしてこのマシンは「SA05」と命名され、今(2006年)シーズンの前半に使用されている。
エンジンはホンダのワークス仕様のV8を搭載し、タイヤはブリヂストンを装着する。
そして、今(2006年)シーズン途中からは、スーパーアグリのオリジナルマシン「SA06」を実戦投入する予定となっている。
以下、2006年F1開幕戦でのSA05の概観から筆者の私見を記す。
各部パーツの呼称については、[各パーツの名称]ページを参照。
「SA05」は、2006年のF1車輌規定に合致させる最小限の作業には留まらず、
少しでもダウンフォースを増やす為に、新規開発の空力パーツが作成され、装着されている。
ノーズコーンは新しく造り直され、形状は先端部をやや低くした。
フロント・ウイング規定に合わせる為に50mm高く設置した。ウイング・ユニット自体はほぼ旧車のままと見られる。
サスペンションのアームも旧車の物を使用している。これは安全性に関わる重要な部品だが、
チームスタッフのインタビューによれば、検討した結果、走行荷重に耐えられると判断されたとの事。
尚、このアロウズA23のフロントサスのアッパーアームは、
アームの中央部を境に捻る形で、アームの内側区間と外側区間で断面を変化させる工夫が施してある。
これは何らかの空力的な効果を得ているのかもしれない。
旧車通り、ツインキールの間にはロッドで補強してある。
アンダーパネルは両端が前進する形状となり、サイド・ディフレクターと接続されている。
流行通り、サイドポッド側面下部はやや幅を狭めた。
空力開発上ポイントとなると思われるフェアリングフィンも全体的に改められた。
そしてラジエーター・チムニーも新設された。
ミニウイングは中央のステーでフェアリングフィン上面にマウントしている。
フェアリングフィン下面とアンダーパネル上面とを縦に繋ぐ形で、
サイドポッド側面から後輪にかけての流れを制御する縦のベーンを設置した。
そしてこのベーンには、フェアリングフィン下側のシャドーフラップを装着し、後輪前部の高圧を軽減している。
このシャドーフラップは、低めの位置に設置されており、後輪前部の高圧を軽減する効果が高いかもしれないが、
気流変動には敏感になるかもしれない。
インダクションポッド両脇のミッドウイングは、幅は恐らく規定一杯の600mmで、リヤウイングへ向けて気流を下げるタイプ。
このタイプのミッドウイングを装着している事から、ある程度煮詰めた風洞実験がなされている事が判る。
サイドポッド上面は後方へかけて低くされ、ラジエーター排熱補助の為のルーバースリットを開けている。
排気管を覆う排気チムニーは幅は狭く、背の高い形状。
リヤ・サスペンションは恐らく2002年当時のままで、
コイル・スプリング&ダンパーユニットはギアボックス上面に置かれている。
中央にはピッチコントロール・ダンパーを装着している。
規定に合わせ、リヤウイング前端は後輪車軸の位置まで前進した。
シャーシ名称 | SA05 |
全長 | 4666 mm |
全幅 | 1800 mm |
全高 | 950 mm |
フロント・トラック | 1472 mm |
リヤ・トラック | 1422 mm |
ホイールベース | 3100 mm |
シートベルト | タカタ社製 |
ステアリング& パワーステアリング機構 | チーム内製 |
燃料タンク | ATL社製 |
クラッチ | ザックス社製 |
ミッション | 7速・セミAT |
ギアボックス・ケーシング | カーボン製 |
ダンパー | オーリンズ社製 |
ブレーキ・キャリパー | AP社製 |
ブレーキ・パッド | ヒトコ社製 |
ホイール | BBS社製 |
タイヤ | ブリヂストン社製 |
エンジン名称 | HONDA RA806E |
排気量 | 2.4リッター |
エンジン形式 | V型 8気筒 バンク角90度 |
最高出力 | 700 bhp以上 |
最高回転数 | 19,000rpm以上 |
イグニッション | ホンダ PGM-IG |
スパークプラグ | NGK社製 |
予選結果 | ||||
順位 | チーム | ドライバー | タイム | トップとの差 |
PP | フェラーリ | M.シューマッハ | 1'31.431 | |
3位 | ホンダ | J.バトン | 1'31.549 | + 0.118 |
19位 | MF1・トヨタ | T.モンテイロ | 1'35.900 | + 4.469 |
20位 | アグリ・ホンダ | 佐藤 琢磨 | 1'37.411 | + 5.980 |
21位 | アグリ・ホンダ | 井出 有治 | 1'40.270 | + 8.839 |
決勝レースでのファステスト・ラップ | ||||
順位 | チーム | ドライバー | タイム | Lap |
1 位 | ウィリアムズ・コスワース | N.ロズベルグ | 1'32.408 | 42周目 |
3 位 | ルノー | F.アロンソ | 1'32.534 | 21周目 |
20位 | アグリ・ホンダ | 佐藤 琢磨 | 1'37.104 | 17周目 |
21位 | アグリ・ホンダ | 井出 有治 | 1'38.302 | 11周目 |
決勝レース結果 | |||||
順位 | チーム | ドライバー | トータルタイム | 周回 | 平均速度 |
優勝 | ルノー | F.アロンソ | 1:29'46.205 | 57周 | 206.018 km/h |
16位 | トヨタ | J.トゥルーリ | 1:30'51.466 | 56周 | 199.978 km/h |
17位 | MF1・トヨタ | T.モンテイロ | 1:30'15.643 | 55周 | 197.703 km/h |
18位 | アグリ・ホンダ | 佐藤 琢磨 | 1:31'13.629 | 53周 | 188.489 km/h |
リタイア | アグリ・ホンダ | 井出 有治 | メカニカル | 35周 | 159.851 km/h |