2019年の改定されたレギュレーションは、F1通信のページを参照。
新車「VF-19」はCGでは既に発表されていたが、それが最終的な仕様とは限らないので、本ページでは実車が走るまで記述を待っていた。
そして2019年 2月18日のバルセロナ合同テスト初日、ハースの2019年用マシン「VF-19」のテスト走行が開始された。
ハースはフェラーリと技術面でパートナーシップ関係にあり、
今年のマシン「VF-19」でも、フェラーリのパワーユニット、ギアボックス、そして他のいくつかのパーツの供給を受けている。
マシンの写真は、F1速報のサイトや、F1通信 等を参照。
それでは以下、車体の概観から筆者の私見を記す。
フロントウイングのメインエレメントは、翼端が反り返った形状で翼端板と接続してあるのはあまり良くないかもしれない。
些細な事だが、この形状では、翼端の下面が翼端板との摩擦抵抗が大きく、空力的な観点から宜しくないのだ。
ただし、フラップの両端が寝かせてあるのは、一応、空力開発を行った証拠と云える。
今年からのテクニカルレギュレーションで、フロントウイングのカスケードが禁止され、翼端板も形状が単純化され、
この環境下で、前輪の外側へとフロントウイング上面の高圧流を逸らすには、フラップ両端を寝かせるのが得策だ。
前輪ブレーキダクトのエアインテークは、凝った形状のフィンで構成され、コース上の異物を吸わない様に配慮されている。
フロントサスペンションは、前輪ホイール上端とアッパーアームの距離がまだ在り、空力的に攻めていない。
これならば、アッパーアームをホイールハウス内ギリギリまで高めて、
タイロッドを上下ウィッシュボーンの中間にマウントした方がマシに思える。
何の為のハの字マウントなのか理解して設計しているのかと小一時間問い続けたい。
F1GPで、1998年度に安全基準が大幅に引き上げられたのだが、
それに対して、ベネトンチームが、サイドポッド手前のアンダーボーダーウイングを発明し、
その内部にサイド・クラッシャブルストラクチャー(側面衝撃吸収構造)を収め、前後に短いサイドポッドを実現してしまった。
そこでFIAが執ったテクニカルレギュレーションの記述が、車体側面の上部にも衝突テストを課すという事だった(と筆者は記憶している)。
そういった経緯で、現在のF1車輌では、モノコック側面に、上下2つのクラッシャブルストラクチャーを備えなければならない。
従来車の様に、サイドポッド内に上下の2つのクラッシャブルストラクチャーを収めると、
どうしても、サイドポッド上面前端の厚みが増し、そこで気流を上へ逃がすと、リフトが生じ、その分ダウンフォースを削られてしまう。
それを打開したのが一昨年のフェラーリのアイディアで、その恩恵をそのまま頂いたのが、フェラーリと提携するハースという訳だ。
インダクションポッドには、今季マシンとしては珍しく小さなミッドウイングを備えている。
サイドポッド前後位置の中央から後方にかけてボリュームがあるのは空力的に頂けないが、搭載するパワーユニットの都合上なのかもしれない。
何だかんだで序盤はそこそこ速く、シーズン後半に遅れをとってしまう様なイメージが払拭できない感がある。
これが武器だ、これがアドバンテージだ、というところが見えないハースチームだ。
ドライバーは昨年から引き続き、ロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンのコンビ。