2020年 2月19日、ハースのニューマシン、「VF-20」が登場した。
今年もフェラーリとのパートナーシップを継続している。
マシンの写真は、F1速報のサイト を参照。
今出ている写真では車体の一部しか見えないが、判る範囲で筆者の私見を記す。
フロントウイング翼端板は、上縁後部に切り欠きがあり、アウトウォッシュを調整している。
翼端板の下部の半トンネル形状に注目すると、上側にごく小さなベーンがあり、配慮が細かい。
前輪のブレーキキャリパーは下側の後ろ向きにレイアウトされている。
これは車輌の重心高を下げ、それとコーナリング時(Z軸)の慣性モーメントを低減している。
近年のF1のフロントサスペンションは、空力の為に上下ウィッシュボーンを高い位置にレイアウトしているので、
ブレーキキャリパーをディスク下側にレイアウトし易い。
サイドポッド上面両端からアンダーカットへつながる断面は、R75レギュ限界まで小さな半径としてある様に見える。
これはアンダーカット部の流量を多く確保し、サイドポッド側面の空力に寄与すると思うが、気流変動による挙動が敏感になり易いかもしれない。
サイドポッド上面から左右へラウンドする高圧流は、やや控えめにコークボトルと接している。
この辺りはまだまだアグレッシブに開発する余地があるかもしれない。
サイドポッド後部の高さは低めの部類で、リヤウイングの効率を考慮している。
ディフューザー後部は少なくとも3枚の間隙フラップが見える。
このエリアの寸法レギュを最大限に活用すべく、両端の上部はガーニーフラップ状としてある。
ディフューザー全体の曲面がまとまっており、機能的で美しい。
トレンド通りディフューザーの中央部はボルテックスジェネレーターを12枚装備し、気流の剥離を軽減している。
リヤウイングは2本のスワンネックで走行振動に耐え様としている。
今季のフェラーリ製のパワーユニットは、ウエイストゲートバルブの排気管を左右で2本ではなく、メインの排気管の上側に1本にまとめられた。
これは重心が若干高くなる代わりに、排気抵抗を軽減できる。
VF-20は全体的にコンサバティブな部分が多い印象だ。ライバルに対し飛び抜けた部分がまだ見当たらない。