ヒスパニア・レーシング F110   text by tw  (2010. 3.06土)


2010年 3月04日、HRT(元カンポス)の2010年用マシンが発表された。
HRTはチームであってコンストラクターではなく、マシンはイタリアのダラーラ社によって設計製造された。
エンジンはコスワースを搭載する。 マシンの写真はFormula1 GPUpdate.net等を参照。


全体的にトレンドに沿ったオーソドックスな造りで、特に真新しいアイデアは見られない。
F1走行データの無い新規参戦チームで、且つ開発予算投入額も限られているだろうから冒険はできないのかもしれないが、
普通にレーシングカー・コンストラクターへ開発製造を委託したら、こんな標準的なマシンが出来ましたよ、と云う感である。
せっかくF1へ挑戦するのだから、何か新しいアイデアが見たいものだが…。(1991年のジョーダンの様に!)



ノーズ先端は低め。これは事実上、車体底面でのダウンフォース発生量の上限を決める要素だ。
車体底面への入力量を低めにしておく事で、
最大ダウンフォース発生量の追求よりも、少なめでも常に安定した発生量を求めたのかもしれない。

フロントウイングも特に工夫は見当たらない。
フラップ両端は、気流を積極的に前輪の外側へ向かわせ様という処理ではなさそうだ。

今(2010年)シーズンからレース中の給油が禁止された事から、レース序盤の重い状態でのブレーキングの負担が厳しくなる。
その事からか、ブレーキダクトは大きめの物が装着されている。



フロントサスの上下アームを前から見た時の角度は、やや下さがりだが、他チームと比較すれば水平に近い。
これはフロントのロールセンター高を、他チームの様に異常に高くさせない設計で、無難な選択だと思う。

タイロッドはアッパーアームと同じ高さにあるが、
ロッドは前後に長い翼端断面になってはおらず、徹底した空力開発は成されていない安価なマシンである事が想像できる。

サイド・ディフレクター上縁はギザギザの段差付き。
ディフレクター上縁を斜めにスムーズな形状で高さを低めてゆくよりも、
ギザギザの段差付きの方が、明確な気流進路を実現できるのかもしれない。

サイドポッドはトレンドの深いアンダーカット。
これにより、サイドポッド側面の気圧と、車体底面へ左右から影響する気流を、都合の良い状態へ目指す事が出来る。
これはもう現代のフォーミュラーマシンではほぼ常識の空力手法となっている感じだ。

エンジンカウルにシャークフィンは採用されず、カウルは規定で定められた最小面積とされている。

エンジンの排気管エンドの位置は、車体内側寄りでやや後方にある。
他のコスワース勢は、排気管エンドが外寄りにあるが、HRTは排気管の設計と、
サイドポッド内部の空力デザインが異なる様だ。


HRTスペック
車体最大幅1800mm
ホイールベース約3200mm (*あくまで発表値)
全長約4800mm
全高950mm
クラッチザックス製
ギアボックスXtrac製
ホイールOZ製
ダンパーザックス製
ブレーキ・
ディスク&キャリパー&パッド
ブレンボ製
冷却システム(ラジエータ、熱交換器)マーストン製
コックピット計装MES製
シートベルトサベルト製
消火システムFEV製
バッテリーユアサ製
燃料タンクプレミア製


エンジン
名称コスワース CA2010
型式4ストローク・レシプロピストン、自然吸気、V型8気筒、バンク角90度
排気量2,400cc
最高回転数規定により 18,000rpm以内
重量規定により 95kg以上
シリンダー内径規定により 98mm未満
シリンダーブロック&ヘッド&ピストン 鋳造アルミニウム合金
クランクシャフトスチール
燃料及び潤滑油BP製
燃料噴射マグネッティ マレリ製 100バール加圧インジェクター
点火プラグチャンピオン製

(このページの最新更新日:2010. 3.06土
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