ヒスパニア・レーシング F111   text by tw  (2011. 2. 8火)

2011年 2月 8日(火)、HRT(ヒスパニア・レーシング・チーム)の2011年用マシンの画像が公開された。新車の画像はF1通信 等を参照。

昨年のマシンはイタリアのダラーラ社によって設計製造された物で、
そのクオリティス的にはF3技術の延長線でF1ぽい形にしました、と云う様なマシンで、
ほとんど「グリッドに着く事が最大の目的」の様な状態であったが、
今季のヒスパニアのマシン・デザインは、ライバルチームとの「競争」を意識しているレベルまで高まっている。

技術責任者はジェフ・ウィリス。 チーフ・デザイナーはポール・ホワイトが務める。

エンジンは今季もコスワース製を搭載するが、エンジン開発凍結ルールが敷かれている為、エンジン本体自体はそんなに致命的な弱点とは成らないと思う。

ギヤボックスは、ウィリアムズ・チームからの供給が正式発表されているが、
今回のヒスパニアのリヤサスはウィリアムズの様にプルロッドではなく、従来のプッシュロッドのままだ。
これは昨(2010)年型のギヤボックスの供給と云う事なのだろうか?

チームは、昨年と違い、今シーズン中に数回のアップデートを予定しているとの事だ。
それでは以下、マシンの画像(CADから出した3D・CGかと思うが…)から筆者の私見を記す。



ノーズ先端は低い。これは車体底面が後方へ吸い出せる限界量、つまり最大ダウンフォース発生量の上限を示していると思う。
ノーズ先端はレッドブルを真似て横側のカメラと一体化しており、気流進路の安定性に寄与している筈だ。

モノコック先端上面はV字型で、これで規定で必要な断面積を稼ぎ、ノーズからフットボックスへ下面形状を丸めている。
これはフロントサスのロワアームをアッパーアームに比べ長く出来るメリットと、空力挙動を安定化させる効果もある。

サイドポッド側面は、アンダーカットがとても深くされ、トレンドに乗れている。これは確実に空力性能を向上させているであろう。
サイドポッド上面も大きく下方へ落とし込まれており、これもトレンド通り。
ただし、サイドポッドからリヤカウルへの空力デザインは、上手く設計できていないと冷却面で問題を抱える事になる。



サイドプロテクターは、当たる気流を左右へ分けようとしている様で、少しでも弊害を軽減しようという配慮が見られる。
エンジンカウルは、今季の規定内のエリアでシャークフィンが装着された。

車体のカラーリングは一新され、車体後半はチェッカーフラッグ模様が施され、
その模様はカーブしており、これで車体の形状が判り辛くなっている。

リヤウイングの翼端板は、珍しく、横方への高圧排出スリットが開いていない。昨年はスリットが開いていたのだが…。

(このページの最新更新日:2011. 2. 8火
Site TOP HRT