レッドブル RB1   text by tw  (2005/ 2/ 7〜)


2月7日に「RB1」の写真が現れた。
昨年のジャガーR5の設計をベースに、手短に今(2005)年仕様のマシンを造り上げたという印象。
他チームの様に長い期間をかけてよく練られたマシンではなさそうに見える。
形状的に空力効率はトップからだいぶ離されていると思うが、
レーシングマシンは、車体バランスさえ良好に仕上げれば見た目よりは速く走ったりするものなので、
開幕するまで希望は捨てなくて良いと思う。
過去の例では1994年序盤のラルースが良好な車体バランスで、低速コーナーでかなり速かった記憶がある。



フロントウイングは中央を低め、前方に出したスプーン型。
フラップの前後長は、左右の部分よりも中央部分の方が後方まで伸びている。
サイドフィンは昨年風。
翼端板の下縁のトンネルはRが控えめで平たい。

ノーズ先端は目測で70mmくらいか高くされ、先端は丸みをおびた。
先端には小さなエアインテークが開いている。
下面のスラント・カーブは、フロントウイング上だけで空間を高くした様な形で、
大別するとウイリアムズ風。

前輪内側のディフレクターは低い形状。



フロントサスはシングルキールを継続。
アッパーアームにはプッシュロッドを避ける切り欠きがある。

昨年のR5では、フロント・プッシュロッド・ロッカーを高くする為に、
モノコック上面に膨らみがあったが、今回のRB1ではそれが見えない。
これはフロントサスの内部レイアウトは昨年車と同一ではない事を意味する。



インダクションポッドのエアインテークは昨年と同じ形。

サイドポッドの上側やラジエーターチムニーや小型ウイングは、一応今のトレンド風にしてある。


今年から後輪手前下部のフロアパネル(エアシール)が切り取られたが、
丁度ジャガーは昨年から後輪内側のベーンを使っている。
これはフェアリングフィンから続く後輪内側の仕切り板と一体型。


リヤウイングの翼端板は今年の規定用に変えた。
トレンド通りに、アッパーウイングの後ろ側では切り欠いた形状。
(ここまでの最終更新日:2005/ 2/ 8


レッドブル RB1 テクニカル・スペック (チームの発表)
トランスミッション7速
クラッチAPレーシング
(3枚プレート プル・タイプ)
タイヤミシュラン社
ホイールOZレーシング社
フロント: 12.7in x 13in
リヤ  : 13.4in x 13in
ブレーキ・
キャリパー
APレーシング社
(リチウム・アロイ 6ピストン)
ブレーキ
・ディスク&パッド
カーボン・インダストリー社
or ブレンボ社
サスペンション
・スプリング
フロント:トーションバー
リヤ  :コイル
アップライトチタニウム製
プッシュロッド
& 上下アーム
カーボン製
ダンパーコニ社
エレクトロニクス
(エンジン&シャーシ)
Pi `VCS` システム
コスワース・レーシング TJ 2005 エンジン
V10 ・ バンク角 90度 ・ 2998 cc ・ 4バルブ
最高回転数18,000 rpm
ブロック&ヘッドコスワース自社でアルミニウム鋳造
ピストンアルミニウム アロイ
クランクシャフトスチール
エンジン・マネージメントPi リサーチ社
イグニッション・システムコスワース・レーシング
スパークプラグチャンピオン社
燃料カストロール社



[Rd.1 オーストラリアGP (メルボルン市街地)  3月 4日(金曜)の写真から]

サイドポッド上の小型ウイングには翼端板が無く、チムニーへ取り付けてあるタイプ。
車積カメラはエンジン・エアインテークの横側の高さに設置した。



Rd.1 オーストラリアGP (メルボルン市街地)  3月 6日(日曜)の写真から]

5位グリッドのクルサードはスタート後の1コーナーへの進入までに、4位グリッドのザウバー(J.ビルヌーブ)と3位グリッドのウィリアムズ(ウェーバー)を抜き、3位へ上昇した。 (この時、1コーナーへのブレーキを遅らせて前輪を少しロックさせた。) そしてウィリアムズ(ウェーバー)から逃げ切ったまま、4位でチェッカーを受けた。
クリエンは6位グリッドからスタートし、7位でチェッカーを受けた。
このレースでのレッドブルの健闘は、路面温度が低かったのも幸いしていたかもしれない。



Rd.2 マレーシアGP (セパン) 3月18日(金曜)〜19日(土曜)の写真から]

ディフューザー上縁とガーニーの付け根には隙間を開けてある物を装着しているかもしれない。
もしそうだとしたら、レギュレーションの制約下で間隙フラップに似た効果を狙ったものだと思われる。



Rd.6 モナコGPの写真から (5/29更新)

クラッシュし、フロントウイング一式を全てを失った状態で、
ロープで吊り上げられた「RB1」は、やや前傾していた。(これで前後重心位置の察しがつく。)
ロープは、カメラ(インダクションポッド左側のみに装着)と、
ロールフープウイングとの中間を通っていた状態で吊り上げていた。

最近、左側のみラジエーター・チムニーの外側を切り欠いてある。
チムニーの排出口は大きい。

リヤウイングは翼端流を考慮し、両端の前後長を短くした湾曲ウイングを引き続き使用しているが、
規定でリヤウイング翼端板が後方に延ばされてからは、こういった湾曲タイプは少数派となった。
テールライトのフラップは使わなかった模様。




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