レギュレーションが大幅に変更された1995年以降、各マシンの排気管エンドの場所は、
多くがサイドポッド出口のディフューザー上面となり、スロットル開度に対する空力面の影響は穏やな傾向となった様だ。
そして1998年 Rd.5 スペインGPからフェラーリが投入した「上方排気」(サイドポッド上面から排気)は、
時間とともに他チームも追随し、昨(2009)年まではほぼ標準的な手法となった。
これによって空力的に重要なリヤ・ロワ・ウイング下側の気流が、排気ガスの影響をあまり受けなくなった様で、更に空力安定性が増した。
(2000年のマクラーレン(アドリアン・ニューウェイ在籍)はセンター・ディフューザー内への排気。)
RB6の「常時燃焼・ディフューザー吹きつけシステム」は、おそらく以下の様なものであると思われる。
ブレーキ区間からコーナー入り口区間(=ダウンフォースが欲しい区間)で、ドライバーがスロットルを踏んでいない状態でも、
エンジンの燃料噴射と点火燃焼を常に継続する電子制御を行い、これにより排気管からは「常に」高速の排気ガスが噴き出され、
多段ディフューザー内部の気流を「常に」加速させた状態としてダウンフォースを増していた様だ。
ここでまず疑問に思うところは、ブレーキング中にエンジンを燃焼させていれば駆動系が破損するのではないか?と云う事だが、
ここがこのシステムのポイントで、「燃焼させても、なるべくトルクにならないピストン位置で燃焼させている」らしい。
つまり、燃焼した高速ガスが排気管から噴き出していてくれれば、空力的にはOKな訳だ。
もしかするとクラッチも制御していたのかも知れないが、それについては筆者は情報を得ておらず不明。
このシステムが機能すれば、ダウンフォースの欲しいコースの低速区間でかなりのアドバンテージが見込める。
よって、このシステムの使用を前提に設計されたRB6は決勝レースでも吹きつけを使えたと思うが、
シーズンが始まってからこのシステムを知った他チームは、予選で常時吹きつけを可能と出来ても、
決勝レースではほとんど一時的にしか使えなかったのではと筆者は想像している。
何故なら、今(2010)年から、モノコック等のパーツが事前認可制となった事から、シーズン中の燃料タンク容量の変更は許可されなかった為だ。
来(2011)季からは多段ディフューザーが規定で禁止されるので、各チーム、どういった排気設計としてくるのか楽しみである。
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