レッドブル RB8   text & illustration by tw  (2012. 2.07火)

2012年 2月06日(月)、レッドブルの2012年用マシン、「RB8」が公開された。
写真は F1通信 等を参照。 以下、RB8の概観から筆者の私見を記す。



今年もレッドブルのニューマシンは昨年からの進化型で登場した。
ベース車輌で特に問題となる要素は抱えていなかった様なので、保守的かもしれないが正しい道なのだろう。
開発の念頭に置かれたのは、おそらく吹きつけディフューザーの禁止で失われたダウンフォースをいかに取り戻すかと、
新規定下でのエンジン排気流の利用法の模索がテーマであったと思う。

 2012年の規定では、
 図の赤色で囲ったエリア内に、
 排気管の出口を位置させなければならない。


レッドブルは過去2シーズンに渡り、吹きつけディフューザーの性能効率で他車よりも優位に立っていたと見られるが、
今季から規定で排気管の位置が上図の様に制限され、ディフューザーや後輪の下部へ直接排気を吹きつける事は困難となった。
これで、この部分だけ取って見ればライバルチームとの差は短縮される可能性が高い。



現時点ではまだRB8の詳細が判る写真を入手できていないので、目についたポイントをいくつか。
まずフロントウイングは、昨年の9月下旬シンガポールGPから登場させたタイプを装着している様だ。
これはメイン・ウイング中央のエレメントを、ダウンフォースを発生させる“ウイング”としては活用せずに、
中央エレメントと左右のウイングとの間にRの段を設ける事で、ダウンフォースは左右で発生、と明白に区切っている。
これはフロント中央部の後流はストレートにしてフロアへ向かわせようという意図が見て取れる。

フロントウイング上面は、外側へかけて迎角を寝かせる事で気流を外側へ向かわせる形状なので、
フラップを支持する金属製プレートも、気流進路へ合わせて斜め外側へ向かう様に備えられている。



今年話題となっているノーズ上面の段差だが、RB8はモノコック取り付け部分でエア・インテークとしている事が特徴だ。
取り入れた気流がどこへ向かうのか不明だが、ダンパーや電子機器の冷却に用いるだけなら大き過ぎる開口部に思える。

サイドポッドの前半はスリムで、手前の縦のベーンとの空間を大きく取ってある。
このエリアは空力面の感度が高そうで、微妙な違いで大きな差がつきそうに見える。

レッドブルで特徴的なサイド・プロテクターは、より明確に気流を左右へ別ける形状となった模様。
これはドライバーの視認性は低下するが、空気抵抗の削減とリフトの発生を抑制できる。

リヤウイングはメイン・エレメントが厚みがあるが、これはウイング中央部が、
自身の“インタクションポッドのスリップストリーム内”に在る事から、
ウイング下面へ多めに気流を流し、速度を増させ、ウイング後部で気流が剥離しない様にする意図が考えられる。

今年もリヤ上段ウイングの後縁は、中央部がV字型で規定範囲を一杯に使っていないが、
これはV字に切り欠いているのではなく、3D形状としてフラップ中央部を窪まさせ、(=跳ね上げ角度の低化)
ウイング上面の気流を中央へ寄せているのかもしれない。その場合、翼端渦は軽減するだろう。

DRS(ドラッグ・リダクション・システム)の効果を最大に引き出す為に、リヤ・ウイングの設計は、
各車、メイン・ウイングとフラップの大きさ設定の最適化が非常に重要な要素となっている。

(このページのここまでの最終更新日:2012. 2.07火 Am 4:01

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