レッドブル RB10   text & illustration by tw  (2014. 1.28火〜)

2014年 1月28日、レッドブルの2014年用マシン、「RB10」が公開された。写真は F1通信 等を参照。
それでは以下、車体の概観から筆者の私見を記す。



筆者はレッドブルをどうしても昨日公開されたトロロッソのマシンと比較してしまうが、
何と、実質のノーズ先端高さはトロロッソよりも低くなっている様だ。
これでは車体下方へ供給する気流量がトロロッソよりも少ない事を意味する。個人的には意外な展開だ。

レギュ対応のダミーノーズは、トロロッソよりも何故か太い様だが理由は解らない。取り付け手法はトロロッソと同じ様な形状。



新規定で幅が少し狭められたフロントウイングは、コンセプトが改められた。
昨年まではフラップ内側部分の前後長を短く、フラップ外側部分へ前後長が長くなってゆき、
ウイング上面の高圧流を積極的に外側へと導いていたが、
今季のウイングは、フラップ内側部分でも強めにダウンフォースを得ようという形状となっている。

ニューウェイは少し前のインタビューで、フロントウイング幅が昨年までの 1800mm から 1650mm へ狭められた事を
かなり重要視しているとコメントしているが、
彼は昔から、空力面で細かい部分に神経質となる傾向があると筆者は感じている。決して全体的に観れない事はないのだが、
どうしても細かいゲインについて過敏になる人柄が彼に対する筆者の印象だ。



フロントサスの上下アーム角は、水平よりややハの字マウントとなっており、
昨日公開されたトロロッソよりもロールセンター高が高い。
これはサスペンション・ジオメトリーよりも空力を優先した結果だ。

前側ロワアームの車体側取り付け位置を観ると、もう少しアームを下部に取り付けられそうなのだが、
アームは気流の邪魔をするので、重要な車体下方への気流阻害を回避した空力優先思想だ。

プッシュロッドの車体側取り付け位置は、モノコック上面よりやや低い所にあり、
内部のピッチコントローラーがロッカー(ベルクランク)上部に装着してあるかもしれない。
この場合、サスの内部ユニットの構成はシンプルな形となり、ステアリングシャフトはピッチコントローラーの下を通る。

モノコック下部のセパレーターはかなり後ろ寄りにあり、空力的に攻めた印象を受ける。



サイドポッドの全体的なコンセプトは一新された。
特にサイドポッド後部が、昨年までの様に上面と側面が融合せず、上面と側面と明確に区別されている。
これは今季から、リヤのロワウイング(ビームウイング)が禁止された事からだ。

昨年までの上横融合型では、リヤウイングと連携してサイドポッド後部で高圧ダウンフォースを得ていたが、
今季の上面側面区別型では、サイドポッド後部での高圧ダウンフォースは得難い。

それでも上面後部を低く落とし込んでいるのは、ボディワーク中央部の大砲型カウリングと関係がある様だ。



リヤウイングの支柱は独特で、ウイングから前方へ1本の細いステーが伸び、ギヤボックス上側の構造物へと繋げている。
これは出来るだけウイングからステーを遠ざけ、ウイングにクリーンな気流を当てようという意図が観てとれる。
エンジンの排気管はむき出しで、ウイングステーの下を通っている。後日ミニウイング追加等のアップデートがあるかもしれない。

ドライバーは同チームで4年連続チャンピオンのセバスチャン・ベッテルと、新加入したダニエル・リカルドが務める。

(このページのここまでの最終更新日:2014. 1.28火 19:10


(2014. 2.12更新)

「RB10」の、規定を満たす為の擬似ノーズをよーーく観てみると、ここがエアインテークとなっている事が判明した。

また、写真でノーズコーンを上から観ると、赤い「TOTAL」のロゴの後ろに、スリットが開いているのが判る。
擬似ノーズの前面で吸収したエアはこのスリットから排出している様だ。
(左図は筆者による推察スケッチ。形状は大体で適当。)

単にノーズ内に空気を通すだけでは内部抵抗が増すだけなのでゲインは無い筈だ。
もしかしたらモノコック前面に置いた何かのパーツを冷却する目的があるのかもしれないが、
ノーズの内部でどの様な空力処理が行われているのか大変興味深いところだ。


(このページのここまでの最終更新日:2014. 2.12水
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