レッドブル RB13 text by tw (2017. 2.26日〜)
クリスチャン・ホーナーは、新レギュレーションでエイドリアン・ニューウェイはモチベーションを取り戻し、
RB13で開発の50%は関与するとコメントしていた。昨年のRB12でニューウェイが関与したのは20%程度であったと云う。
そしてレッドブルの2017年用マシン、「RB13」は、2017年 2月26日に発表された。
パワーユニットは昨年同様ルノーで、名称はタグホイヤーだ。
RB13の写真はまだ1枚しかないが、F1-Gate.com 等を参照。以下、車体の概観から筆者の私見を記す。
この様な形状とすると、サイドポッド上面の気流は端へ向かって、まず初期は流速が低下し、圧力が増すだろう。
ただしコークボトルラインでは流速が高く圧力が低いので、サイドポッド上面を通った気流はここへと吸い込まれ、
コークボトルの気流と混じって、流速を上げながらリヤエンドへ流れる可能性がある。
今年大型化したディフューザーと、低くワイドとなったリヤウイングへ、
エネルギーの強い状態でリヤエンドへ気流を供給できれば得られる空力効果は大きいだろう。
以前まではサイドポッド下部は、アンダーパネル下面が車体横側から吸い込んでしまう気流のシール効果に専念していたかもしれないが、
今年はアンダーパネルが幅広となり、シール性の重要度が下がっているのかもしれない。
代わりにディフューザーとリヤウイングヘエネルギーの強い流れを供給できれば、
ディフューザー下面の気流の吸い出し効果も高める事ができるので、ダウンフォースが増加する。
サイドポッドのエアインテークは小さく、やや縦に長めで、内側へ寄った。
前輪が回転するフォーミュラマシンでは、サイドポッドのインテークは内側寄りで縦に長い方が、気流の充填効率が高くなる。
今年フロントタイヤもワイドになったので、前輪が巻き起こす乱流の影響からこの様な形状となったのかもしれないし、
明日以降装着するであろうスペシャルなポッドウイングの仕組みの都合からかもしれない。
現時点でのポッドウイングは明らかに発表会用のダミーで、今年、実戦用がこんなに簡素な筈がない。
そしてサバイバルセル側面も発表会用のダミープレートが着いていると見ていいだろう。
空力的に、ここがこんなに長く下まで垂直面が続く筈はないからだ!
なので、モノコックのセパーレーターの辺りも何か秘密が隠されている筈だ。
ミラーは低い位置にある。
サイドプロテクターは昨年同様、左右の気流を合流させるタイプを継続している。
インダクションポッドのメイン(上側)のエアインテークは、昨年は丸かったが、今年はもう少し三角へ近くなった。
代わりに、その下のインテークが小さくなった。
リヤサスペンションのプルロッドはここ数年のレッドブル同様、前方へ伸ばして車体側へ接続してある。
リヤウイングステーは1本で、スワンネックの模様。
RB13の明日以降のテスト走行の写真が楽しみだ!
ドライバーは引き続き、ダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンが勤める。
RB13の発表時にこのページ上で綴った内容を、視覚化した。(雑なイラストだが容赦して頂きたい。)
サイドポッド上部の赤色の輪のエリアが「高圧・低速流」で、
サイドポッド側面の水色の輪のエリアが「低圧・高速流」を示す。
RB13のサイドポッドの空力パッケージは、ウイングで例えるならば「間隙フラップでウイング上面の高圧流を、ウイング下面へ噴射して流れを加速している」イメージだ。
RB13では、高速で通過するサイドポッド側面のアンダーカットの気流と、撫で肩で圧力を増して外側へこぼれるサイドポッド上面の気流を積極的に出会わさせる事で、
黄色い輪のエリアの気流を蹴っ飛ばして加速させる意図であると考えられるのだ。
黄色い輪のエリアの気流の運動エネルギーが高ければ、ディフューザー上面の流速が高まり、リヤエンドでディフューザー下面の気流をより多く引っ張り出す効果が生じる。
そうなる理由は、空気には粘性があり、勢いのある気流は周りに触れた気流を加速させるからだ。
結局、空力性能の優劣で支配的な要素とは、ディフューザーが車体底面から引き抜ける気流量をより多くできるか否かだ。
空力効率を表わすL/Dはこれが非常に重要となる。
単独で作用するウイングとは異なり、路面と接近した車体底面で発生させるダウンフォース(グランドエフェクト)は、より空力効率が高いのだ。
ただしRB13のこの作用は、もちろん無償では手に入らない。
サイドポッド側面の低圧エリアにサイドポッド上面の高圧流を合流させると、その分、コークボトルラインの流れの圧力が増す為、
コークボトルラインが、前方のアンダーカットと、更に前方のモノコック下部セパレーターの空気をリヤエンドへと吸い出す効果が低減する。
これはサイドポッド側面の流速低下を意味し、車体底面が外側から吸い込んでしまう気流のシール性の低減を意味するが、
今年のテクニカルレギュレーションではアンダーパネルの最大幅が広くされた為、昨年までよりもこのシール性は問題にならないだろう。
よって、RB13の上横融合サイドポッドコンセプトは、広いアンダーパネルが許された事で実現可能となったと言える。
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