ジョーダン EJ14 text by tw (2004. 2. 4〜 2. 6)
2月3日頃、ジョーダンEJ14はシェイクダウンされた。
ジョーダンは厳しいチーム状況の中、ニューマシンにはそれなりの開発の跡が観れる。
ノーズコーンの側面はカーブを一段絞りをつけたタイプで、1992年頃のF1のノーズを思い起こさせる。
モノコックのフットボックスは高く持ち上げられ、ノーズ下面はややスラントさせている。
フロント・ウイング下面はスプリッター付き。
フロント・ウイングステーは、昨年はハの字に広がるタイプだったが、EJ14ではノーズから下方へ伸びる、Rのついたステーとなった。
ステーの後方のフラップには小さな三角形のガーニーが付けられ、気流を調整している。
フロント・ロワアームは、ジョーダンは2002年、2003年とツインキール式を採用したが、今回のEJ14ではセンターキール式に戻った。
EJ14のセンターキールは、高さの割りに幅がやや細く見え、剛性面で多少不安に思う。
サスの全体的なジオメトリーは一般的なものに見える。
今年もボーダウイング式を継続しているが、セパレーターから続くモノコック側面下部の形状が昨年までとは変わった。
モノコック下部のラインは昨年までの様にセパレーターからサイドポッド・インテーク内へと続く部分は無くなり、ライン自体はセパ
レーターから左右へ全てサイドポッド前端下部の壁へと続いている。ただ、セパレーターからの気流は、モノコック下からこぼれてイ
ンテーク内へ入ると思われる。
ボーダウイングとサイドポッド前端との隙間は小さめ。
昨年同様ジョーダンは他チームに比べ、サイドポッド前端の下面の厚さが小さめ。この部分は車体下への空気の流れ方に影響する。
ラジエーター・インテーク内への気流の充填効率の面では、サイドポッド前端の下面の厚さを小さくすると、その分インテーク開口面積
を縦方向で稼げるので、インテークを車体内側へ寄せられて、前輪からの乱流の影響をインテークが受けにくくなり有利かもしれない。
今年もバックミラーはひさし付き。これはミラーの観易さだけでなく、空力上の意味も有ると思われる。
今年のフェラーリやルノー同様、サイドプロテクターとエンジンカウル間の溝は、溝がサイドプロテクター上面まで高くなってサイドプロ
テクターと合流するデザイン。これはエンジンカウルの新規定が関係しているのだろうか?
給油口の蓋の部分に、謎の膨らみが有る。
ヘッドレスト上面の後方への傾斜は大きめ。
ロープを通す穴はマクラーレン式で継続。
ジョーダンは今年もサイドポッドは流行を追わない独自のデザイン。
サイドポッド上面を、低く落とし込み始める区間は後ろ寄り。
今年はラジエーター・チム二ーだけでなく、サイドポッド上には、小型ウイングも追加された。
ラジエーター・チムニーは後端の高さを規定一杯までは使わずに、斜めにカットされ、小型ウイングに熱気を吹きかける状態となっている。
他チームの様にサイドポッド側面から伸びるフリップアップ式のフェアリングは使用せず、サイドポッド上面から続くフィン状のカウル
でボディ上面を凹形とするタイプを継続している。
今回のEJ14ではその凹の降下の角度が急に始まっている。
このフィン状のカウルは、ラジエーター・チムニーの後端の位置から左右へ広がっている。
フェアリングの上方には、例年通り小型ウイングを装着。これはフェアリング後端の迎え角が大きいので、気流を調整するフォワード・フ
ラップの役割があると思われ、この小型ウイング自体は然程ダウンフォースを発生していないかもしれない。
そして、今回のEJ14の目立つポイントは、サイドポッド上面後部と排気管の周辺。
排気チムニーは左右に離れ、外側へ傾斜した形状で、後輪側面のフェンスと一体化させている。
このデザインは、排気チムニーが単独で存在するよりも、干渉抵抗と表面抵抗が小さそうである。
後輪側面のフェンスは、フェアリングの下側は内側へ絞り込む事で、これと一体化している排気チムニーを全体的に外側へ傾斜させている。
排気管の中央に壁が入っているのは、1998年のベルナール・デュドのインタビューに拠ると、振動による破壊を防ぐ為。
リヤカウル後部は開放的となり、リヤサスのベルクランクを収めるカウルの膨らみが目立つ形状となった。
エンジンカウル後端はテールランプ位置までほぼ真っ直ぐ延びている。
リヤウイング下段は、昨年までは複雑にカーブさせたタイプだったが、今回のEJ14は両端以外は比較的ストレートなタイプとなった。
リヤウイング翼端板の上部は前方が丸くカットされており、クラシックな印象を受けるが、上面正圧の利用効率の面で、筆者は若干疑問に思う。
(このページの最新更新日:2004. 2. 6)