ジョーダン EJ15   text by tw (2005/ 2/ 8〜 2/ 9)


「ジョーダンのエンジン使用歴」
(注:フォードはコスワース社製)
1991 フォード  V 8
 92 ヤマハ   V12
 93 ハート   V10
 94
 95 プジョー  V10
 96
 97
 98 無限ホンダ V10
 99
2000 ホンダ   V10
 01
 02
 03 フォード  V10
 04
2005 トヨタ   V10
2005年用「EJ15」のテスト走行が2月7日から開始された。
名称はEJ15と新車を装ってあるが、
実際は昨年のEJ14シャーシにトヨタエンジンを搭載しただけのバージョンであると思われる。


モノコックの概観は昨年とほとんど同じままの様だが、

1. 使用エンジンが、昨年のフォード(コスワース製)からトヨタへ変更となったので、
モノコックのエンジンと接合するボルトを通す位置を変更する必要がある。
2. 筆者はまだ確認できていないが、
今年からの規定でモノコックのサイドインパクトが強化されている可能性があり、
この場合は昨年よりもモノコック設計を強化する必要がある。
3. 今年からタイヤ無交換ルールとなった為、レース中に給油回数を減らす可能性もあり、
その場合には燃料タンク容量を増やしたい。
4. モノコックには走行距離あたりの寿命があるので、
昨年と全く同じ型で参戦する場合であっても、結局は新たに製造する必要がある。

といった理由から、一応モノコックについてはEJ15と呼んでもいいのかもしれない。


他にEJ14からEJ15への主な変更箇所は、
エンジンにギアボックスを接合する部分の形状対応、
エンジン変更に伴う制御システムの電気系統の対応、
ボディワークを今(2005)年度版レギュレーションに対応させる事、
の3つだと思われる。
新規定に対応させたボディワークは、昨(2004)年シーズン終了後のテスト走行から既に装着していた。



EJ15の空力デザインについて。
今年からの新規定に対応させてあるだけで、他チームとはかなり差が広がったと思う。

新規定用に空力開発された跡は観えないが、
車体全体のセットアップをする為に必要となるエアロマップは、きちんと風洞で採って有るのだろうか?
戦う為の最低限必要な準備がなければ、参戦していてもただ走るだけとなってしまう。



昨年のフロントウイングをそのまま、規定を満たす為50mm高くした様に見えるが、
リヤのダウンフォース発生量を回復させていないのならば、
前後配分を変える意味も無いので、とりあえず今はこのままでも良いのかもしれない。

ノーズコーンの両脇に取り付けるダミーカメラは、
その後方のフロントサスのアッパーアームよりもやや高い位置にある。



サイドポッド手前の「アッパー・ボーダー・ウイング」は、昨(2004)年のハンガリーGP頃から使っている。
F1マシンのサイドポッド上面の前端は気流が速い様だが、それはリフトを発生すると思われる。
その対策で、アッパー・ボーダー・ウイング上面の遅い気流を、サイドポッド上面に流しているのかもしれない。



サイドポッド側面には、気流の道筋をつける小さなフィンが付けられている。

エンジンカウルの後端は縦に切り取ってあり、内部エアを排出しているが、
形状的にはただ切っただけという感じで、上部は肉厚のままとなってしまっている。

ラジエーターチムニーや、小型ウイング、
サイドポッド上面から続くフェアリングフィン等は昨シーズンからの形状。

ディフューザー上端に大きな壁の様なガーニーが付いている模様で、
後ろから見るとサイドディフューザーのシルエットが昨年のままに見える。


・ エンジンは良いと思われるが、EJ15の速さはチームのやる気に大きく左右されると思う。

(ここまでの最終更新日:2005/ 2/ 9


[Rd.1 オーストラリアGP (メルボルン市街地)  3月 4日(金曜)の写真から]

フロント・ロワアームの後ろ側は、モノコックから小さなキールを下方へ出して接続しているのが確認できた。
前輪内側のディフレクターは前後2段式構成となっているかもしれない。
ミラーは上下にひさし付き。これは気流の制御にも関係する。
冬のテストから、リヤウイング翼端板の後縁の縦のラインは、他チームとは違い、上側を後方へ延ばしてあるのが特徴的。



[Rd.2 マレーシアGP (セパン)  3月18日(金曜)〜19日(土曜)の写真から]

前輪内側ディフレクターとボーダーウイングとの中間位置に、新たなディフレクターを追加した。
この中間ディフレクターは下面プレート付きで、周辺の複雑な形状の状況下でデザインされている。
ボーダーウイング前縁内側にも小さなプレートが付けられている。
中間ディフクレターの上方の、コクピット側面には三角形の水平プレートが付けられた。

ボーダーウイングとサイドポッド前端との隙間は狭めとなっている。
ジョーダンのボーダーウイングは斧の前進部分が控えめとなっている。

排熱処置として、コークパネル部の下部のカウルを一部取り払う場合があった。

フロアプレートの後輪手前を低圧にするベーンは引き続き使用している。

ディフューザーは、冬のテスト時とは異なる新設計の物を装着しているかもしれない。


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