2016年 2月24日頃から、フォース インディアの2016年用マシン「VJM09」が合同テストで走り出した。
マシンの写真は、F1通信 等を参照。 それでは以下、車体の概観から筆者の私見を記す。
もし大幅に違う点があるとしたら、(これは見た目では僅かな差の筈なので、確かな事ではないが、)
もしかするとレーキ角(車体の前傾姿勢)が昨年までよりも強めとなっているかもしれない。
フラットボトム規定下のレーシングマシンでは、レーキ角が車体底面の空力に重大な要素となる。
理論的にはレーキ角が強い方向で空力開発を進めた方が、車体下面で発生できる最大ダウンフォースは増せる可能性があると言えるかもしれない。
そしてレーキ角はフロントウイングの効率も左右する。
フロントウイングは、路面との隙間を小さくする事で流速を高める、グランドエフェクト(地上効果)を利用している為、
レーキ角が強いと、フロントウイングと路面との距離が接近し、この効果が高まるのだ。
ただ、せっかくノーズの下へ取り入れた気流を、Sダクトのノーズホールが上へ抜いている。
これでは抵抗ばかり増してしまう様に思えるが、ノーズ下の気流の運動エネルギーを活性化させている可能性がある。
現代の空力は、精密な風洞や高性能なCFDで検証を行える為、単純なアイテムの損得は計算し易いだろう。
ただし風洞もCFDも、正しい空力デザイン学の大局を見極めるツールでは決してないので、人間の知恵やセンスは無意味とはならない。
VJM09のサイドポッド・エアインテークの開口量は小さい部類だろう。
インテークの形状は、昨年よりも四角ばったものへ変更されたが、
三角のものよりも、四角く高い位置にある方が、車体側面への流量が増し、車体底面へ流れ込む流量をシールできる。
エンジンカウルは昨年のトロロッソの様な斜めのボリュームがついた。
横から見て、エンジンカバーには最小面積を満たす為の三角の縦フィンは着いているが、
実質のインダクションポッドの絞込みは位置は手前で完結している。
これは今年あたりから再び流行の兆しが見える造形だ。
コークパネルエンドは、縦にメルセデスの様な間隙がついた。
排気管は、メインを上側にし、ウェイストゲートを下側に2つレイアウトしている。
モンキーシートは大きめで、排気流を多少は吸い出す効果があるだろう。
テストでは好調の知らせが届いているが、タイムは何をテストしているかによって意味合いが異なる為、
単純にこの時期のタイムの速い遅いでは車輌を評価できない。
しかし速いタイムが多く出ている事自体はマイナス要因ではない訳で、失望のシーズンを過ごしそうな雰囲気は感じられない。
ドライバーは引き続き、ニコ・ヒュルケンベルグとセルジオ・ペレスが勤める。
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