2011年 1月31日、チーム・ロータスの2011年用マシンが公開された。
名称は現時点では「T128」とされているが、政治的な理由から後に変更されるかもしれない。
エンジンは昨年はコスワースを搭載したが、今季はルノーを搭載する事になった為、「ロータス・ルノー」というチーム名になる様だ。
だが一方で、元ルノーチームの名称が今季から「ロータス」とされる事が発表されており、
現時点では「ロータス・ルノー」というチームが2つ存在するややこしい事になっている。
技術責任者はマイク・ガスコインで、リヤエンドはレッドブルから供給を受ける。
よってリヤ・サスペンションは昨年のレッドブル同様プルロッド式となっている筈だ。
それでは以下、「T128」の概観から筆者の私見を記す。 写真は F1通信 等を参照。
フロントウイングは一応手の込んだ造りの物だが、後のテスト走行までに新型へと変更される可能性があると思う。
ノーズ先端は幅広となり、上から観ると丸みをおびている。
これは空力挙動を鈍感にする為と、ノーズ上下への気流の振り分けを安定させる為と思われる。
ところでウイング・ステーの形状が不自然だ。もっと前方へ延ばさなければフロントウイングを吊るされないのでは…?
フロント・サスアームはモノコック側取り付け部分にカバーを装着している。
しかしアッパーアームが極端に後傾しているのが筆者には理解できない。
それは勿論取り付け強度は上がるだろうが、ジオメトリー的に、ブレーキング時に思い切りノーズダイブしてしまう筈だが…。
サイドポッド側面のアンダーカットがかなり深くなり、空力性能は相当向上している筈だ。
アンダーパネル両端には、前後方向へと延びるガーニーを装着し、空力挙動を安定させている。
サイドポッド上面は、両端が若干上あがりの形状で、その前端は、ポッドパネルと呼ばれる縦のベーンと繋がっている。
この繋げる部分は、太めの丸みをおび、斜め前方へ突き出す様な形で、空気抵抗が大きいと思う。
サイドポッド上面の、後方へかけての落とし込みは、トップチームと比べると低くはなく、それは空力性能の差となる。
このマシンで特徴的な部分の一つはインダクションポッドで、
昨年のメルセデスのエンジン・エア・インテークのアイディアを採用している。
しかし、今季から適用される規定で…、
第15条 2項 4:
「主たるロール構造は、最も高い部分の下50mmの水平面の垂直投影において、
最低10,000mm2の閉鎖された構造的断面積を持たなくてはならない。
この様にして確立された部分は、長さあるいは幅が200mmを超えてはならず、この点より下で10,000mm2より狭くてはならない。」
とされている。こういった制約の中で、太めの中央柱を設ける必要性が筆者には解せない。
先日のテスト走行の写真から、いくつかを記す。
前輪のブレーキダクトの縦横比は、標準的なオーソドックスな物。
フロント・サスアームの車体側取り付け部分は、(おそらくは柔らかく生成されたカーボン地で) カバーされているが、
このパーツは、バネ下部品と定義されるのか、それともボディワークと定義されるのかが気になる。
もしボディワークと定義されれば、あのカバーはホディワーク寸法規定内よりも外側へはみ出している様にも見えるからだ。
そして安全面の観点からも不安が残る。
まず、車体が転倒した際に、着地した場所がサンドトラップだと、ロール・フィンが地面にのめり込む可能性があり、
ドライバーの頭部保護の面で危険性があると思う。
もう一つが、ロールフープ・カメラの後ろ側のフィン状の所に、車体を吊り上げる際のロープを通す穴が開けられているが、
その断面は鋭利な為、クラッシュ後でも600kg程度はあると思われる車体を、実際に吊り上げる際にロープが切れないか不安に思う。
今回の筆者の記述ではネガティブな点ばかりとなってしまったが、マシンの性能面では、
今季のロータスはシーズン中の開発が滞らなければ、中団に居られそうな、そこそこのポテンシャルを持っている様に思える。
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