ミナルディ PS05   text by tw (2005/ 4/16〜)


2005年シーズンの3レースが経過した後の4月15日(金曜)に、
ミナルディは2005年型ニューマシン「PS05」の初テストをムジェロサーキットで行った。
写真は F1 racing.net を参照。
(F1 racing.netは、今年ミナルディのレギュラードライバーのクリスチャン・アルバースのスポンサードを行っている。)

この新車PS05は、次週の第4戦イモラから投入される予定。
タイヤは昨年同様ブリヂストンを履く。
記事に拠れば、エンジンはレッドブルRB1とほぼ同スペックのコスワースV10を使用できるとの事。



ボディワーク空力デザイン形状は、ようやく最近のトレンドに沿うデザインとなった。
しかし、同一のマシンでもセッティングに費やした時間によって速さに大きな差が出る様に、
空力デザインも風洞でセッティング作業に時間を費やさなければ性能は十分に発揮できない。

そして、現代のレーシングカー空力開発は、風洞試験にかけた時間の分だけ性能向上が見込める状態にある。
基本的な概観がほぼ同じままでも、細かな調整の積み重ねで性能に大きな違いが生まれる。

ミナルディチームはPS05の開発デザインにあたってどれくらいの風洞試験時間を費やせただろうか?
これがマシンの速さの決まる重要なポイントとなる。



写真から判るポイントについて。

フロントウイングの翼端板は、上端のラインをV字に切り欠くタイプ。

今年も前輪内側の小型ディフレクターと、サイド・ディフレクターとの組み合わせ。
サイド・ディフレクターの後端は低い。



サイドポッドは、最大高は高め。 側面の上部には、銀色の部分が見える。
側面は下部を大きく絞り込むタイプとなった。側面下部が最も幅広となる区間は、やや後ろ寄り。
側面下部の絞り込み区間での下面プレートは、車体中心へ向けて厚みを持つ形状。


サイドポッド上面は、後方へ大きく落とし込んである。
こうする事で、サイドポッド前端からリヤウイングとの間に大きな窪んだ空間が出来る。
この窪んだ部分では流れが遅くなり圧力が上がるので、ボディ上面のダウンフォースが増すと考えられる。



ラジエーター・チムニーのデザインは、サイドポッド全体の空力設計と一体で考えられているもの。
排出口は大きめで、チムニーでの排熱量が多い程、コークボトルを狭く絞り込める。

そして、このPS05ではチムニーを斜め上横方向へ伸ばすデザインとなっている。
設置場所とチムニー本体形状を優先して、規定の隅まで一杯には使っていないかもしれない。

このチムニーのある部分のボディワーク許容範囲は、車体中心線から左右へ700mm以内で、
リファレンスプレーン(=計測基準面。スキッドブロック未装着状態での車体底面)から上方に600mm以内となっている。

ルノーの場合はチムニーを上方へ伸ばして、高さを規定一杯まで使い、
フェラーリは斜め横へ伸ばして、横幅を規定一杯まで使って チムニーを切り落とした様な形となっている。



フェアリングフィンの前半区間のラインは直線的で、あまり凝ってはいない様子。
小型ウイングを使っていないのが疑問。
小型ウイングは、サイドポッド及びフェアリングフィンと一体で空力設計されるべきだが、
このまま実戦でも付けないのだろうか?


フロアパネルは吊ってある。これは規定 3.17.2 をクリアする為と思われる。

(3.17.2 意訳)
後輪中心線から前方に450mmで、車体中心線から左右650mmの地点のボディワークは、
500ニュートンの負荷を垂直にかけた時に、垂直に 10mm以上屈性してはならない。



ロープを通す穴はマクラーレン式。

インダクションポッドにミッドウイングは使っていない。

サイドポッド上面の落とし込みが大きい分、エンジン排気用チムニーは縦に長い。
低めたサイドポッド上面と一緒に排気管も低くできない理由は、
高温の排気ガスがリヤサスのアッパーアームやドライブシャフトへ直接当たらない様にしたい為。
PS05はチムニー内側と排気管との隙間が妙に狭い部分があり、まだ造りが甘そうな気がする。


リヤ・ボディはリヤサス・ユニットを納める為に膨らんでいるが、これはプッシュロッドの角度をつける為。
プッシュロッドが立っている程、リンク装置としての作動性が良くなる。

サイドディフューザーは角に丸みがつけられている。
今(2005)年から厳しく制限された状況下で、少しでもダウンフォースを稼ぎたい為にガーニーリップ付き。

センターディフューザー両端のフェンスは高い。

リヤのロワ・ウイングは横方向に直線的で、設置位置は後ろ寄り。銀色の部分は耐熱処理を施したもの。
リヤのジャッキアップ用のフックは有る。

リヤウイングの翼端板は、凝っていない四角い形状。
翼端板にスリットを開けるのは昨年ミナルディが始めたもので、翼端板の内側から外側へ気流を排出するタイプ。
これは後輪の後方の低圧部に気流を供給する効果と、
干渉抵抗が発生する代わりに僅かにダウンフォースが増す効果があるかもしれない。


(このページのここまでの最終更新日:2005/ 4/17


Rd.2 マレーシアGP (セパン) 3月18日(金曜)〜19日(土曜) (3/20更新分)

マシンは2005年度のF1GPに参戦するにあたってほとんど最低限に近い様な状態に見えるが、
後輪手前のフロアプレートの小さな折り返しは付けられている。



Rd.4 サンマリノGPの写真から (5/ 4更新分)

チームのスケジュール通りに新車PS05を投入した。
PS05発表時にはサイドポッド上の小型ウイングは未装着だったが、やはり実戦では装着し、
そのウイングは上下2段構成となっていた。
他チームの多くはラジエーターチムニー本体を車体空力設計の一部としているが、
PS05はラジエーターチムニーを完全に取り外して走行する場合もあった。



Rd.6 モナコGPの写真から (5/29更新)

ラジエーター・チムニーは、排出口を横方へ向けたタイプで、
チムニーの断面はダウンフォース発生型となっている。
チムニーを装着しないで走行した場合もあった。
リヤウイングは前戦から、メインウイング両側を持ち上げた湾曲形状のタイプを投入した。
テールライト上方のフラップを装着した。


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