トロロッソ STR3   text by tw (2008. 9.16)


トロロッソチームは2008年シーズンの開幕戦には新車の投入が間に合わず、
シーズンの途中から2008年用マシン、「STR3」を投入した。
写真は、F1-Live.comや、GPUpdate.net等を参照。
以下、筆者の私見を記す。
このマシンは、昨年に引き続きフェラーリ製エンジンを搭載する。



昨年と同様、レッドブルのRB4とトロロッソのSTR3は、ほぼ同一の車輌設計基盤となっていると思われる。
最大の相違点は昨年同様エンジンで、レッドブルはルノーを搭載し、トロロッソはフェラーリを搭載する事である。
エンジンが異なる事で、ラジエーターの冷却要求度や、
エンジンとギアボックスとの取り付け部分が多少異なり、
それは強度や剛性と、リヤ・サスペンションの取り付け部分に違いが出る。
そして排気管の形状の違いから、サイドポッド内部のエアフローも異なる事になる。
その為、レッドブルRB4とトロロッソSTR3では、空力性能は近いが全く同一という訳ではない。



シーズンが進むごとに、トロロッソは親チームのレッドブルのラップタイムに近づき、
そしてこのページを書いている時点では、とうとう追い抜くまでに至った。
これは搭載するエンジンの違いによる要素が大きいと考えられる。

現状の規定では、エンジン開発凍結レギュレーションとなっているが、
補機類等、限られた部分では開発を行いアップデートする事が出来る。
ルノーエンジンよりもフェラーリエンジンの方が、シーズン中のパワーアップに成功している可能性が非常に高いと考えられる。
また、使用する燃料の開発もラップタイム短縮に寄与している様だ。
パドックに流れる情報によれば、フェラーリとルノーとでは約30馬力もの差が有るという噂もある。

そしてトロロッソSTR3は、2008年第14戦イタリアGPモンツァで雨の予選、決勝の中、ポール・トゥ・ウィンを飾った。
チーム創設時からのミナルディ時代には勝利は無く、現状のトロロッソ体制となって初の優勝である。

優勝したモンツァ・サーキットは、ストレート・セクションが長い、現F1GPでは最も高速のサーキットである。
このポール・トゥ・ウィンという結果はセバスチャン・ベッテルという非常に優秀な若手ドライバーの能力だけではなく、
それに加えて、トロロッソ・フェラーリのマシンが性能を発揮した結果と考えられる。

ストレート・スピードは、コーナーの脱出速度と、そこからはエンジン出力と走行抵抗から成る。
雨のコンディションではドライバーはコーナーで攻める事がなかなか難しく、
ラップタイムは制動性能とストレート速度が効いてくる場合が多い。
レッドブルRB4とトロロッソSTR3では空力性能が近い為、
エンジン性能に違いによるストレートスピードの差がレース結果に表れたと考えても良いかもしれない。

ただし勿論これらの記述はドライバーのS.ベッテルの能力をスポイルするものではなく、
エンジン性能もレース結果に寄与する要素が大きいという考察である。

(このページの最新更新日:2008. 9.16
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