トロ ロッソ STR9   text by tw (2014. 1.28火〜)

今季からトロ ロッソは、今年からパワーユニットをフェラーリからルノーに変更した。
これによりレッドブルと同じエンジンおよびギアボックスを使用する。
よって、兄弟チーム的なレッドブルとパワーパッケージが同一となり、両者のシャーシ性能およびチーム力の差がよく判る事になる。
また、両者が同一のパワーユニットを使用する事で、“他チームとのパワーユニット性能の違い”が判り難くもなる。

2014年 1月27日、トロロッソの2014年用マシン、「STR9」が公開された。
新車「STR9」の写真は、f1-Gate.com 等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。



ノーズ自体は、昨年車のSTR8とあまり変わらず、それに新レギュレーションに対応する為だけの「構造物」を取って付けた様な形状だ。
この突き出した「レギュ対応ノーズ部分」の下縁は、あまり上昇カーブを描いてはおらず、左右を絞り込んで後ろ端を合流してある。
これによりレギュ対応ノーズ部分を通過する気流進路は、上昇するよりも左右へ別れ、再び左右で合流する流れとなるだろう。

結果、少し空気抵抗と重量を増すだけで、昨年までの様なハイノーズを維持できている。この空力アドバンテージは大きい筈だ。
明日公開されるレッドブルは元より、他チームはシーズン中にこのノーズ形状を追随するかもしれない。

そしてモノコック前端の高さが昨年までよりも 100mm 下げられた事によって、フロントサスの上下アームがほぼ水平角となった。
これでフロントのロールセンター高がまともになり、ビークルダイナミスクス面でも性能向上(と云うか回帰か)は確実である。



エンジンエアインテークは三角形となった。

サイドポッドのエアインテークの開口量は昨年と大して変わらず、ターボ仕様の冷却要求にとってチャレンジングなアプローチだ。
サイドポッド後部も昨年同様、“レッドブルの様に”非常にタイトな造りとなっている。
「STR9」は空力も車体運動力学性能もポテンシャルが高そうだが、冷却/信頼性に筆者は不安を感じざるをえない。

ドライバーは、ジャン・エリック・ベルニュとダニール・クビエトが務める。

(このページのここまでの最終更新日:2014. 1.28火 3:05


(2014. 2.12更新)

リヤウイングの支持方について。「STR9」はリヤウイングのセンターピラーが無いが、
ギヤボックス両脇から伸ばしたロー・ビームウイングに翼端板を固定し、リヤウイングを支持している。

このロー・ビームウイングはサイドディフューザーのすぐ上に有り、
下手すると干渉抵抗を生み出しかねないが、上手くすればディフューザーの気流跳ね上げ量を増す事ができるかもしれない。

(このページのここまでの最終更新日:2014. 2.12水


(2014. 3.04更新)

シーズンイン前のバーレーンのテストで、新しいノーズコーンが登場した。
新車当初のノーズは上面が平らかったが、今回の物は先端の左右が持ち上げられ、車体下方への気流供給量を増している。
ノーズ最低高の規定を満たす為に中央部は持ち上げられていない。これによりノーズ上面は窪んだ形となった。
こういったノーズとする事で更なるダウンフォース発生量を増す事が期待できるが、複雑な形状なので空力的に神経質になるかもしれない。

尚、サイドポッド後部のラジエーターエア排出口を確認してみると、十分な排出量がありそうで、
車体側の設計が起因するオーバーヒートの心配はなさそうだ。
ただし現段階のルノーエンジンが信頼性を欠いており、エンジンが起因するトラブル発生の可能性は高い。
現段階で最高のパワーユニットは明らかにメルセデスで、それに対してルノーは165馬力も出力が低いという見方もある程だ。

(このページのここまでの最終更新日:2014. 3.04火


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