2019年の改定されたレギュレーションは、F1通信のページを参照。
トロロッソの2019年用マシン、「STR14」は2月11日に発表された。
昨年から引き続き、ホンダのパワーユニットを搭載する。
「STR14」は、昨(2018)年のレッドブルのコピーマシンであると云う事前の噂が上がっていた。
実際、前後サスペンションやリヤエンドは、昨年のレッドブルのパーツを使っているという内容だ。
ただし実際のリヤエンドは、今年のホンダのパワーユニットに対応する改造がなされている筈である。
新車「STR14」の写真は、F1-Gate.com 等を参照。
以下、概観から筆者の私見を記す。
ウイング下面のスプリッターは、今年のレギュレーション通りに左右2枚づつだ。「STR14」ではだいぶ外側に配置されている。
フロントウイングステーには、縦方向に3つのスリット入りだが、現時点の写真でこれを内側へ迎え入れているのか、それとも外側へ吐き出しているのかは不明。
プッシュロッドの車体側取り付け部の、ノーズ上面は、ピッチコントローラーを収める為に、もっこりとしており、空力よりもメカニカルエリアを重視している。
車体をやや上から観ると、ノーズ脇の下に、間隙式の6枚以上の幅狭のフィンが見えるのだが、現時点で詳細は不明、新たな構造物だ。
ブレーキダクトは新規定に合わせ、余計な空力付加物が消えて、純粋なブレーキ冷却目的のダクトのみとなっている。構造的に非常にスッキリされた。
サイドポッドのエアインテークは、その開口面積を、最も上側に、最も幅広に、とデザインされた。
これはサイドポッド側面下部(アンダーカット)への気流供給量を、規定内で最大にしようという決意の表れである。
ここの流速が高い程、アンダーパネルの「シール効果」が高まるのだ。
筆者が「シール効果」と呼ぶ、これの説明をすると、
まず通常、アンダーパネル下面の気流は低圧なので、車体横側から余計な空気を吸い込んでしまう。
しかし空力効率的には、気流進路は前から後ろへストレートに気流が抜けてくれるのが理想で、
何とか横側から吸い込んでしまう空気をシールしたい。そこでアンダーカットの高速流が利用される。
気流は圧力の高い所から低い所へ流れ込むので、サイドポッド側面下部の圧力を低下させる事で、アンダーパネル下への空気侵入を抑制できるのだ。
リヤビューミラーは、新規定で左右へ結構遠くに離され、
そのステーは、薄い水平フィンと、薄い垂直フィンで固定してある様だ。
これは力学的にも空力的にも合理的なデザインだろう。
ただ、ミラーの前面が不自然に縦の壁の様に見えるのは、新規定の所為か、それとも空力の何かの仕掛けなのかは、ちょっと判らない。
昨年のレッドブル同様、サイドポッドのアンダーカットの幅が最大となる場所は、サイドポッドの結構後ろ寄りな所だ。
サイドポッド上面の両端は、流速を遅く、圧力を高くするラウンドデザインとされており、相互作用で意図した空力設計とされている。
この部分は、文面では非常に説明が困難に思えるのだが、筆者の文力不足も影響しているだろう。
リヤサスペンションのアッパーアームは水平に近い角度で、リヤのロールセンターは高めな事が推測できる。
元々、空力要素が無い条件での前後ロールセンター高は、前下がりが理想だ。
ウエイストゲートバルブはメインの排気管の両側にある。
昨年フェラーリがテストしていた様な、リヤウイングへの吹付け効果が期待できる縦3連置きにはしてこなかった。
これは、ウエイストゲートバルブからの流量からはリヤウイング吹付けに十分な効果を発揮するに至らない、という事なのかもしれない。
外観から判る要素では、「STR14」のシャーシは全体的に結構戦闘力が高そうな雰囲気に感じられる。
しかし肝心となる、今年のホンダ パワーユニットの性能がどうなのか筆者には知る由も無いが...。
ドライバーは戻って来られたダニール・クビアトと、新人のアレクサンダー・アルボンのペアだ。