ルノー R27   text by tw  (2007. 1.16〜)

ルノーの2007年用マシンの非公開テスト時の写真がネット上に流出した。

●http://image.blog.livedoor.jp/mkz/imgs/c/e/ce9edd44.jpg
●http://img165.imageshack.us/img165/6489/picture3ag8.jpg
●http://img165.imageshack.us/img165/8209/picture1pf0.jpg
●http://img411.imageshack.us/img411/3514/picture6ju4.jpg

筆者はその日付を知らないが、1月14日には写真が出ていた様だ。

まだよく確認できる写真は入手できていないが、フロントサスは今年もV型キールと思われる。

バックミラーは昨年のフェラーリに追従して、規定内(車体中央線から左右700mm以内)で最も外側へ置いた。
そして更に、ミラーとサイドポッド手前の気流制御板とを一体化させるという新アイディアが用いられた。

サイドポッド上面の両端は、やや撫で肩となっている。
こういった処理は、前輪が巻き起こす乱流に対応するアプローチの一つだと思われる。

ギアボックス上側の、リヤサス・ユニットを収めるカウルはあまり大きく膨らむ事無く比較的スムーズなデザインとなっている。

テールライトは低く配置され、そのテールライトと一体のクラッシャブルストラクチャーの下面は水平で直線的な形状。
そして上面では丸い断面となっており、ロワウイング下面が巻き上げる気流がクラッシャブルストラクチャー上面へ左右から入り込む様に処理されている。
ロワウイング中央部のクラッシャブルストラクチャーの上側では、狭幅の小さな延長ウイングが設けられている。

リヤウイングは今年もギアボックスから立てたステーでアッパーエレメントを受け持つが、今年は2本のステーとなった。
このステーは単なる直線的な形状ではなく、微妙にカーブして気流に対応している。

リヤウイングのアッパーエレメントは、3等分する様な位置に補強の小さなステーが入っている様だ。

(ここまでのこのページの最新更新日:2007. 1.16


> テールライトは低く配置され、そのテールライトと一体のクラッシャブルストラクチャーの下面は水平で直線的な形状。
そして上面では丸い断面となっており、ロワウイング下面が巻き上げる気流がクラッシャブルストラクチャー上面へ左右から入り込む様に処理されている。
ロワウイング中央部のクラッシャブルストラクチャーの上側では、狭幅の小さな延長ウイングが設けられている。

リヤエンドについての補足。
左のスケッチは、ルノーR27とは多少形状は異なるが、
リヤエンドの基本的な考え方を表した。

そしてこれを横から見た時の図を、下の右図に表す。




(リヤ・クラッシャブル・ストラクチャーの形状を、
 衝撃吸収能力は無視して、
 リヤウイングの気流進路の理想に沿わせたもの。)


(リヤ・クラッシャブル・ストラクチャーを、
 クラッシュ・テストを満たせる形状とした上で、
 なるべくリヤウイングの気流進路の理想に近づけようとデザインしたもの。)

(注:上図はあくまで筆者が推測した気流イメージ。風洞実験やCFDから導いたものではない。)

気流線の色は、気流の速度を表した。赤いほど高速で、青いほど低速とした。
空間の色は、青いほど低圧で、赤いほど高圧とした。

ベルヌーイの定理により、流体の速度と圧力の関係は、速度が増すと低圧となり、速度が低下すると高圧となる。

ただし、車体の後方では、流速が遅いにも関わらず低圧となる。
その理由は、空気には粘性が有り、気流が物体を沿っていると流速が低下し、そして流れの剥離が発生し、
車体は後方に有る「剥離した空気の塊り(これをウエイクと呼ぶ)」を引きずりながら走行する為である。

車体の空気抵抗(ドラックと呼ぶ)は、車体前側の高圧と、車体後ろ側の低圧と、空気との摩擦抵抗との合算である。
しかしレーシングマシンでは、車体後方の低圧を利用して、車体底面の空気を吸い出す様に工夫する事で強大なダウンフォースを得ている。

(ここまでのこのページの最新更新日:2007. 1.23


2007年 1月24日に、R27の2007年仕様のカラーリングが公開された。
しかしライバルチームに詳細な形状を隠す為、その発表用マシンのリヤエンドは昨(2006)年の物を着用させていた様だ。

新カラーリングとなり、サイドポッド手前上部の気流制御板とフェアリングフィンとが一体化している事が確認できた。
これにより、サイドポッド側面を沿う気流の進路は、サイドポッド側面の上側と下側とを明確に管理できる様になった。
筆者は、このサイドポッド手前上部の気流制御板とバックミラーとフェアリングフィンとを一体化させた新しいアイディアを高く評価したい。

(ここまでのこのページの最新更新日:2007. 1.25
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