昨年までは「ルノー」であり、今季からは「ロータス ルノーGP」としてF1に参戦するチームの、
2011年用マシン「R31」が2011年 1月31日に公開された。
ややこしい事態となっているので、とりあえずこのチームは「元ルノー・チーム」と認識しておけば良いだろう。
現在入手できている写真はまだ少ないが、以下概観から筆者の私見を記す。
サイドポッド前方・両端の縦のベーンは、他チームは下部を内側へ湾曲させ狭めているが、
R31はベーン下端も、外側一杯まで使っている。
昨年同様、ベーンを前後方向へストレート形状にするのではなく、上から見てカーブさせているのが特徴だ。
マシンを吊り上げるロープを通す穴は、昨年同様マクラーレン式としている。
サイドポッド後半の絞込み方も、昨年のマクラーレン風となった。
吹きつけディフューザーに用いる排気管エンドの位置は、他チームと比べると後ろ寄りにある。
よっておそらく排気管は長くなっていると思われるので、エンジンのトルクカーブが中低速重視となっているかもしれない。
ディフューザー・エンドは規定幅一杯まで使い、車体底面から最大限まで気流を吸い抜こうという努力の跡が観える。
そしてディフューザー両端は外側へ向けてカーブさせてあり、これにより後輪の後ろ側の下部へと気流を誘導し、
後輪下部に当たる気流の引き抜きと、後輪後ろ側のウエイクの低減に寄与している。
ディフューザーを規定幅一杯まで使う為に、
後輪の前側のアンダーパネルに、背の低いフェンスを車体片側2枚づつ設置し、後輪に当たる気流の進路を制御している。
その2枚の内、外側のフェンスは、どうやら上に蓋の付いたベーンとなっている様で、後輪の外側へ気流を向けようとしている。
これはなかなか効果のあるデバイスだと思う。
フェンスの背が低い理由は、おそらくレギュレーションによる制約からで、
あれ以上高くすると、ボディワークの端には半径 75mm以上 のRをつけなければならないエリアに入ってしまうのだと思う。
そして勿論、これは最早F1の常套手段だが、
ロワ・ウイングは規定で許されている中央部を間隙フラップ化させ、ウイング背面の気流剥離を防止している。
カラーリング以外、車体形状ではもしかすると地味に見えるかもしれないR31だが、
順調に開発が進められれば、なかなか侮れないポテンシャルがあるかもしれない。
R31には革新的なアイディアが採用されている事が明らかとなった。
何と、エンジンの排気管を車体前方へ長く伸ばし、サイドポッド前端の下部へと排気している事が写真で確認できた。
この排気管エンドはサイドポッド前端まで伸ばされた後、車体外側方向へ曲げ、サイドポッド前端の最下部へ吹きつけている。
ある筋に拠れば、エンジン排気流の速度は、最速で音速近くにもなると云う。
それ程の超高速気流を車体底面、しかもその前端部分から供給すれば、非常に強大なダウンフォースを発生できる筈だ。
そして排気流を有効に吹きつける為に、排気管エンドは上下に平べったい形状とされている。
排気管エンドの中央に縦の板が着けられているが、これは整えた正確な排気流状態とする目的以外にも、
排気管が割れない様にする目的もあるかもしれない。これについては2002年頃にベルナール・デュドがコメントしている。
長過ぎる排気管はエンジン出力を損なってしまうが、
この前方排気システムは、エンジン出力低下分を上回る空力アドバンテージがあると計算したのだろう。
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