今(2012)年のロータス(元ルノー)は、独自のブレーキング時・車高調節システムを搭載している可能性が高い。
これはロータスが昨(2011)年、アブダビで若手ドライバーテスト中に試用した事で発覚した様だが、
その機構についてジョルジョ・ピオラ氏が(撮影された写真から起こしたであろう)イラストで、
フロントサスのプッシュロッドのバネ下側取り付け位置と、ブレーキ・キャリパーに、油圧シリンダーらしき物を示している。
その機構は、ブレーキング時にフロントの車高が沈み込む量を緩和するデバイスで、
ドライバーがペダルを使って作動させるシステムである、とメディアの間では言われている。
ドライバーによる操作でブレーキング中にマシンの車高操作を変更すれば、規約(3.15項)違反となるが、
このデバイスは直接サスペンションと繋がっており、ブレーキ・トルクに反応して作動する物なので、
FIAはロータスの車高調節システムは合法と判断した。
これによりF1界では、また新たな分野の開発競争が始まっている。
2012年 2月06日(月)、ロータス ルノーGPの2012年用マシン「E20」は大雪の為にWebで公開された。
この新車のテクニカル・ディレクターはジェームズ・アリソンが務めている。
E20の映像は、Amazing F1 stuff - Lotus E20 Launch 等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。
フロントウイングの翼端板は非常に凝った複雑な物で、テキストで形状を説明しようという気が起きない物だ。
その工夫の一つとして、フラップの内側は枝分かれして上下へやや広げられており、
車体中央へは跳ね上げ量が穏やかな進路角度で作用するウイング形状となっている。
ブレーキ・キャリパーは後方・やや下向きに装着してある。
ルノー時代から、ここ数年このチームで特徴的なのは、モノコック下部のセパレーター開始位置が前方にある事だ。 これはその内部に何らかのパーツを詰めてあるのか、それとも空力的な理由でそうなっているのかは筆者はまだ判らないで居るが、 セパレーターの前後長が長い程、空力的に直進性に優れ、ブレーキング時に安定すると思う。
ただし逆に、Rの小さなコーナーでは旋回性が悪そうにも考えられるが、
そして右図は2009年当時にザウバーの写真から起こしたスケッチで、
これは規定のステップ・プレーンとリファレンス・プレーンを利用したもので、 (この形状とする空力効果については、また違う機会に。) |
サイドポッド後部はレッドブル風で、ボディワークと後輪との間に大きな空間を作り出し、
リヤへかけて多くの気流を導いている。その気流はディフューザーやリヤウイングと連携される。
これは連続した3D形状となっているので、もうコーク・パネルとは呼べなくなった感だ。
そしてこれもレッドブルに習って、ラジエーターを通過した気流を、ギヤボックス上方へ誘導して排出している。
2009年から規定でリヤ・ウイングの上段が高められた事から、リヤの上下ウイングの間に大きな空間ができた。
ラジエーターを通過して運動エネルギーが低下した熱気を排出する場所は、
ここが一番リヤエンドの流れに悪影響を及ぼさないエリアである可能性が高いと思う。
リヤのプルロッドは、昨年のレッドブル程ではないが前方へ伸ばし車体側と接続している。
リヤの下段ウイングは昨年同様、規定で許されている中央の 150mm 幅のエリアを上下逆V字で間隙フラップとして、
リヤの衝撃吸収構造を下段ウイングの下側を潜らせる事で、全体的に流れの運動エネルギーの強さが窺える。
それとリヤウイング上段のフラップ中央までレッドブル化されたが、これについては筆者はまだ懐疑的である。
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