2015年 1月27日、ロータスの2015年用マシン「E23」の画像が公開された。画像は F1通信 等を参照。
昨年までのルノーから今季はメルセデスのパワーユニットへ変更した事が大きいだろうから、
E23の設計はこのパワーソースを前提にこれを最大に生かす為の開発が主にされたのではないだろうか。
以下、E23の概観から私見を記す。
メインウイング上には縦のベーンを左右2枚づつ配置している。
これは横方向にはカーブしているが上方向には開放してあるので、ウイング上面の低速高圧流を大気と作用させ、
高圧流を少しだろうがダウンフォースとし、気流を前輪の外側へ向かわせる役割がある。
翼端板は凝った形状で、風洞開発を施した跡が窺える。
ステーはメインウイングとほんの少ししか接合していないが、F1マシンはこれでも大丈夫な様だ。
ブレーキダクトの前側は前輪をあまりカバーしておらず、ここは開発の攻めが見られない。
規定を最大に使えば、もっと前輪の前側まで周りこめる筈だ。
フロントサスはプッシュロッドの車体側取り付け位置が低めで、これは先端が低く短いノーズの形状に合わせたものだろうが、
低いプッシュロッドとハの字マウントのアームとの組み合わせはサスの作動性が低下する。
昨年の王者メルセデスは、プッシュロッドを後斜として高い位置にレイアウトしていた。
モノコック上縁よりもある程度プッシュロッドの車体側取り付け位置が低い事から、
ピッチコントローラー(サードダンパー)はロッカー上側にリンクさせている事が窺える。
この場合、ピッチコントローラーのコイルスプリングは伸び方向の簡単な配置で済む。
前側ロワアームの車体側取り付け付近は、前後長が短いが、これは気流進路の理由からだろうか。
タイロッドは画像からは場所が判らなかった。
その横ベーンは前傾の丸みカーブを描き、サイドポッド上面前端の気流進路を調整している。
上ベーンが前後にストレートな形状だとサイドポッド上縁で気流が絞られ、流速が増し、上面でリフトが発生するのかもしれない。
サイドポッドの最大高は、縦のベーンの高さ付近にあるので、規定内の600mmくらいの高さだ。
サイドポッドはその後、上面を後傾している為、リヤウイングとの間に凹部を設け、
この作用からこの区間を低速高圧流としてダウンフォース獲得に寄与している。
サイドポッドの後方エリアは、リアのアッパーアーム角度に合わせて、内側へ傾斜させたカウルとしてある様だ。
E23で最も特徴的なのはインダクションポッド両脇に大きめのエアインテークがある事だろう。
これはオイルクーラーへの流路かと思うが、
エンジンエアインテーク下部のセパレーターで気流が絞っている割りに開口量が大きい様に見えるので、
もしかすると他の流路の可能性もあるかもしれない。
筆者が懐疑的なのは、リヤウイングへ供給する気流量が低下するのではないかという事だ。
これで致命的なダウンフォース不足になるという程の量ではなさそうだが、F1GPでは最大の空力効率を追求しなければならない。
フラップの両端では切り欠きがなく、不自然な印象だ。
翼端板と接触する気流は運動エネルギーが低下する為、フラップをカットし早く気流を開放する方がセオリーではないのか?
翼端板の上縁後ろの切り欠きには丸みがつけられ、気流変動にダルくする意図が見える。
リヤウイングがスワンネックになっていないのは開発の遅れではないかと思う。
中央のモンキーシートも見当たらない。
綴る必要は無いかもしれなが、リヤサスは今年もプルロッドだ。
フロントノーズのルックスは良いと思う。フロントサスのハの字マウントがこれでいいのか気になる。
高いサイドポッドと太いインダクションポッドは空気抵抗を増す恐れがあり、最高速が低くなるかもしれない。
昨年最強であったメルセデスのパワーユニットを使用する事で多少のドラッグは気にしないコンセプトなのかもしれないが、
高速域での車速の伸びに支配的な要素は車輌の空気抵抗係数だ。
全体的に空力デザインを見直した印象を受けたが、E23には懐疑的な部分が多過ぎる様に思うのは筆者だけか?
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