[ English language ]

ルノーRS18   text by tw  (2018. 2.21水)

2018年 2月20日、ルノーの2018年用マシン「R.S.18」が公開された。
この新車の概観は、F1-Gete.comを参照。以下、車体の概観から筆者の私見を記す。



全体的に観て、このマシンは保守的で冒険をしていない。筆者にはそう観える。

フロントウイングで疑問なのが、後ろのフラップ内側が、前のフラップ内側を覆っていない事だ。
その結果、複雑な渦流がサイドディフレクターめがけて飛んで行く筈なのだが、これで大丈夫なのだろうか?

ノーズホールの排出口は小さめで、ノーズ下の気流活性化について積極性に欠ける様に思える。

フロントサスペンションは従来通りで、アッパーアームはホイールの中だ。

今年もサイドポッドのアンダーパネル前部が厚い。
これはアンダーパネル前端の、垂直な部分に衝突した気流を、車体底面へ導いていると思える。
これはおそらく問題無い。

サイドポッド上面の前端は従来通りで、気流を上へ絞り上げ、リフトを発生してしまう。
現時点で、ルノーは昨(2017)年のフェラーリのサイドポッドの影響を受けていない唯一のチームだ。
彼等は何故チャレンジングしなかったのだろうか?

昨年同様、インダクションポッドのエアインテークは幅広で、下側のセパレーターが無駄に体積を喰っている。
つまりインテークに入るべき気流を無駄に多量にセパレーターで左右へ別けている。これは明らかに空力的な損害だ。

今年のトレンドになりそうな「ギヤボックス ウイング」は写真からは観えない。

おそらく筆者の様なアマチュアには観えないレベルで細かな空力チューニングを多々施してあって、
今年それなりに闘えそうなそれなりのゲインがあるのだろうが、
しかし如何せん基礎が保守的過ぎる。開幕までに大アップデートをしないと、トップチームには全く挑戦できないだろう。
ドライバーはニコ・ヒュルケンベルグとカルロス・サインツのペアだ。

(このページのここまでの最終更新日:2018. 2.21水


ルノーR.S.18スペック
シャーシカーボンファイバー&アルミニウム ハニカム・コンポジット モノコック
全長5480 mm
全幅2000 mm
全高950 mm
フロントトラック1600 mm
リアトラック1550 mm
質量733 kg (ドライバー、オンボードカメラ、バラスト込み)
トランスミッションセミオートマチック・シーケンシャル・クイックシフト 8速+リバース1速
ギアボックスチタン合金
サスペンショントーションバースプリング
ブレーキブレンボ社 カーボンディスク&パッド、キャリパー。APレーシング社 マスターシリンダー
ホイールOZ社 マグネシウム製
燃料タンクATL社 ケブラー強化ラバー製
エレクトロニクスMES-マイクロソフト製スタンダードECU
コックピットカーボンコンポジットシート&6点式ハーネス

パワーユニット ルノーR.E.18スペック
排気量1.6リッター
気筒数6
バルブ数1気筒あたり4
バンク角90度
燃料燃焼室 直接噴射
ボア80 mm
ストローク53 mm
クランク高90 mm
最大回転数15,000
過給シングル ターボチャージャー、ブースト圧規制無し(5bar abs)
最大燃料流量100 kg/h
燃料最大搭載量105 kg
MGU-K 回転数最大50,000 rpm
MGU-K 出力最大120 kW
MGU-K エネルギー回生量最大 2MJ/周
MGU-K エネルギー放出量最大 4MJ/周
MGU-H 回転数100,000 rpm
MGU-H エネルギー回生量規制無し
出力950馬力以上
質量145 kg (レギュレーションの最低重量)

(このページのここまでの最終更新日:2018. 2.21


テスト走行の写真から、「R.S.18」のリヤエンドは、
テクニカルレギュレーションの範囲を最大に利用して、排気管を高い位置で、斜め上方へ向けてあり、
エンジン排気流をリヤウイング下方へ吹き付けている事が明らかになった。
ウェイストゲートの2本の排気管は、メインの排気管の下側にレイアウトされた。

現在のF1パワーユニットでは、排気ガスの運動エネルギーは、タービンとMGU-Hを回す際にだいぶ消費してしまうが、
それでもおそらくまだ排気流は高速であって、リヤウイングへの吹き付け効果のゲインがあるのだろう。
ライバルチームに対し、スロットルを開いて旋回して行くコーナーで若干のアドバンテージを得られそうだ。

(このページの最新更新日:2018. 3.09金
[Site TOP] [ルノー] [ロータス] [ルノー]