ザウバー C23 text by tw (2004. 3.10)
ザウバーC23(フェラーリの2003年用にデザインされたシャーシとトランスミッションに、2004年仕様の
フェラーリエンジンを搭載したマシン)が、2004年3月7日の開幕戦で 本家のフェラーリとは大きくス
ピードの差があった理由について。
まず、本家フェラーリは、ブリヂストン(以下BS)との共同開発体制により、タイヤと車体を総合的に考
慮した両者の開発が出来るのに対し、ザウバーを含む他のBSユーザーは、フェラーリ×BS体制で開発さ
れたタイヤを供給される立場にある、という違いがある。
この為、他のBSユーザーは、供給されたタイヤをどう活用するかを考え、車体のセットアップや開発を行
う事となる。
フェラーリとBSが、フェラーリの都合だけを考えた両者の開発を行っていても、開発毎にタイヤの特性
自体が大きく変化する事はあまり無いと思われるので、他のBSユーザーは、新スペックのタイヤ用に車体
を対応させていない状態でも、新スペックタイヤの性能向上分から単純にタイムアップはすると思われるが、
新スペックタイヤの性能を十分に引き出すには、それに対応した車体のセットアップが必要となると思われる。
しかし、今回の開幕戦では、BSは新しい構造のタイヤを持ち込んだ。
これは、概観はタイヤの角の部分がミシュラン・タイヤに似て丸く膨らんだ構造の物である。
(開幕戦で使用されたBSタイヤの新しい構造は、
カメラマン澤田賢志氏の
「サーキット便り」 オーストラリアGP
金曜日のページ の写真を参照。)
昨年のフェラーリF2003-GAは、2003年スペックのBSタイヤとの組み合わせを考えて設計されたシャーシで
あり、そのコピーを使用する今年のザウバーは、新しい特性のBSタイヤに合わせたセットアップをしなけ
ればならなくなっていた筈である。
この事が、開幕戦でフェラーリとザウバーの差が大きかった理由の一つであると考えられる。
仮にフェラーリF2004とザウバーC23が、BSの昨年のスペックのタイヤを装着してセットアップした場合と、
これが今年のスペックのタイヤの場合とでは、昨年のスペックでの方が、F2004とC23のスピード差が少ない
可能性が有るかもしれない。
筆者は、開幕戦でフェラーリF2004は、BSの2004年スペックタイヤの性能を十二分に引き出していたと思う
が、ザウバーは、開発体制の差と、チームの力自体の差、そしてF2003-GAのコピーシャーシが2004年スペッ
クのBSタイヤへの対応不足の可能性から、フェラーリとは大きく差がついていたと考える。
(このページの最新更新日:2004. 3.10)