BMWザウバー F1.09   text & illustration by tw  (2009. 1.20 / 4.11 / 4.27)


2009年 1月20日、BMWザウバーの2009年用マシン「F1.09」が発表された。
写真は、GPUpdate.net等を参照。以下、概観から筆者の私見を記す。


F1.09は、現時点では、全体的にすっきりとした、あまり小細工の無いシンプルなマシンとなった。

フロントウイングの翼端板は、積極的に気流を前輪の外側へ跳ね除けようとデザインされている。
それにあたって、翼端板の上下に水平プレートである“翼端板の翼端板”を備えているのも効果的だ。

ノーズ両端からは、垂直に降りるルノー同様のフェンスが備え付けてある。
ルノー同様、フロントウイングのフラップ内側に乱された気流がノーズ下の気流に悪影響を与えない様にする為だ。



サイドポッド上面は筆者の常等デザインとほぼ同一の形状となった。
これはサイドポッド上面の内側は低くしてリヤウイングへ多くの気流を供給して、
サイドポッド上面の外側は高くして前輪からの乱気流を絞って整流する手法だ。

そしてサイドポッド上面の後部はかなり落ち込ませ、ボディ上面の流速を低下させ圧力を上昇させている。
しかし、こうデザインすると、サイドポッド側面後部と後輪との空間が小さくなってしまうので、
筆者はF1.09のリヤエンドのデザインに少々懐疑的だ。



車体を上から観て、ヘッドレストからサイドプロテクターへかけての形状はヘルメットとの隙間に未だ充填の余地が残されている。
F1.09は細かい部分に攻め込んだ姿勢はあまり感じられない。果たして発揮されるスピードは如何ほどのものだろうか?

(このページのここまでの最終更新日:2009. 1.20火


F1では2000年前後から昨(2008)年までは、フットボックス下部のセパレーターから
ステップドボトムである車体底面への気流供給手法は、ほぼ全車、下図の様な形状となっていた。



それが今(2009)年のBMWザウバー「F1.09」は、
左図の様なシンプルな形状としている様だ。

(尚、左図のイラストではその部分の説明の為に、
 サイドポッドの外側は描いてはいない。)

こうしたデザインとした目的は、
サイドポッド底面へ多量の気流を供給しよう
という意図が考えられる。


(ここまでのこのページの最新更新日:2009. 4.11土


「グランプリ特集」誌5月号の75ページに、
BMWザウバーF1.09のアンダーフロア先端の写真が掲載された。
左図に筆者による気流進路イメージを示す。

F1.09のアンダーフロア先端は、これまでの手法とは異なった、
新しい空力デザインを採用している。
この部分は、車体底面の空力性能に非常に大きな影響を与えるエリアだ。

この空力形状の特徴的な事は、
フラットボトム規定を満たす為のダミー・プレート先端を上方へ膨らませ、
そしてその左右へも気流を振り分け、
ダミー・プレート両端の垂直に立てたフェンスの内部通路へ気流を通している事だ。


こうした形状により、サイドポッド底面へ向ける気流進路を制御している事が考えられる。
そして、先端の膨らみの内部にウエイトを内包する事も出来るだろう。

ただ、誌面で掲載されている写真では詳しい形状が判別し辛いが、
形成したトンネルの通路出口の箇所がフラットボトム規定を満たしていない可能性があるかもしれない。

(このページの最新更新日:2009. 4.27月
Site TOP BMWザウバー index