ザウバー C31   text by tw  (2012. 2.07火)


2012年 2月06日(月)、ザウバーの2012年用マシン「C31」が公開された。
この新車のチーフ・デザイナーはマット・モリスという事だ。

しかしチームは不安な要素があり、2010年開幕時にチームに加入したジェームズ・キーが退職を発表しており、
テクニカル・ディレクター不在のまま2012年シーズンを迎える様子だ。

ザウバーは今年度もフェラーリのエンジンを搭載する。
C31の写真は、F1速報 等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。



まずノーズ上面の段差だが、後ろから見ると、段差上面の後縁がカットスポイラー状となっているのが特徴だ。
これはノーズかモノコック内からモノコック上面へ空気を吸い出しているのか、
それとも中にはフタがしてあって、この部分に限られた切り離しの空力処理なのかはまだ不明。気になるポイントだ。

ノーズコーン外側は、多くの他チームの様に、幅広く上下に薄い。
側面には、昨年のメルセデスの様な水平ガーニーを装着しており、空力的に過敏にならない様にしてある。

フロント・ウイングのエリアは、ウイングとしての幅は狭めで、複数の翼端板で気流を外側へ向ける事を重視している。

サイドポッドのアンダーカットは今年も大きくダイナミックだ。
尚、サイドポッド側面下部には、とても小さなエア・インテークが開いている。



エンジン排気管の末端は、サイドポッドの後部絞込み開始位置あたりの角にあるが、
サイドポッドのカウルからもう少し排気管を外へ伸ばしておかないと、排気流の切り離しが鈍くなってしまうかもしれない。

ここで一応、今季の排気管・末端についての規定の一部を以下綴っておく。(多分合っていると思う)
まず、排気管の最後の長さ 100mm のセクションは、完全に直線で、
その断面は、内部に仕切り等の無い完全な円形でなければならない。

そしてその最後のセクションは、縦方向の角度が10度から30度の間になくてはならない。
横方向には、車体中心線に対して、10度までの角度をつける事が許可される。



それとこのマシンで筆者が心配な部分は、リヤエンドのラジエーター排気通路だ。
サイドポッドのコークボトルから、普通にギヤボックス側面・ディフューザー上面に流れている。
ラジエーター・コアを通過し運動エネルギーが低下した気流は、
ディフューザーへ直に触れさせる量は少しでも軽減すべきと云うのが近年のトレンドなのだが…。



リヤ・ウイングの支持法は、昨年の中央1本ステーは撤去され、
翼端板とロワ・ウイング経由で車体へ取り付ける構造となったが、
ロワ・ウイングは、ギヤボックス上面から“吊り上げられている。”

このリヤウイング・マウントは「スワンネック」と呼ばれ、ル・マン24時間レース等では一般的となのだが、
今回のC31の場合、スワンネックが1本で太過ぎる。細いネックを2本にすべきと思うのだが…。

尚、スワンネックをF1で最初に使用したのは、CFDのみで空力開発された、
2010年のヴァージンレーシング(現マルシャ・チーム)であったと思う。
彼等の場合は細めのネックを2本使用していた。

このページを綴っていたら結果的に内容がネガティブ面の指摘ばかりとなってしまったが、別に意図的な理由はない。
開幕までアップデートはあると思うし、C31は外から見える部分より中身が良いマシンとなっている事を期待したい。

(このページの最新更新日:2012. 2.07火 Pm 5:28)

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