フロントウイングはトレンドに沿ったマルチエレメント。
ザウバーは昨年までフラップ内側に間隙が一箇所少ないウイングとしていたが、今年はそこに間隙が入った。
フロントウイングは路面とのクリアランスが狭い為、間隙が多い方が空力挙動が安定するのではないだろうか。
フロントサスペンションは前から見てハの字の角度が弱まり、フロントロールセンターが低くなった。
今年辺りから各チーム共、ハの字を弱める傾向がある。
ロールセンターは高い方がコーナリング時にロールに抵抗する力があるが、コーナリングの限界速度は低下する。
近年、空力に特化して極端なハの字マウントとするマシンが多かったが、やはりサスとして問題があったと筆者は考える。
サイドポッド前部を囲うベーンは、アーチを描く様な変わった形をしている。
ボディワークのレギュレーションをいっぱいに使うのではなく、あくまでサイドポッドの流れに対してベーンで囲う形だ。
サイドディフレクターは間隙とはなっていないので、シーズン中にアップデートがあるかもしれない。
サイドポッド後部の落とし込みはだいぶ低く、リヤウイングと合わさって大きな凹みのカーブを描いている。
これはリヤウイングの効率を向上させるが、代わりにディフューザーの効率は犠牲になるだろう。
と言うのは、サイドポッドの排熱流(遅い流れ)を、結局どの様な形で後方へ抜くのかという問題になるからだ。
後部で同じ排熱を抜くのならば、サイドポッドを低くする事は、サイドポッド幅を広げる事を意味する。
サイドポッド幅が広ければ、その分ディフューザー上面に遅い排熱が流れる事になり、ディフューザーの流速が低下してしまう。
サイドポッド後部を高め、幅を狭くしている例は、昨年からのウイリアムズがある。
C35は低いサイドポッド後部とパッケージングする為に、リヤサスペンションのアッパーアームは内側へ低める角度が強い。
これはリヤロールセンターを低めるが、レーシングカーの前後ロールセンターの理想は前下がりだ。
今季フロントのロールセンターは低められたが、リヤはリヤウイングの空力を優先している形だ。
ザウバーは2010年から、筆者が“インダクションポッドのセパレーター絞込み位置問題”としているデザインがある。 それはインダクションポッドが後部で合流する地点が後方になる事で、リヤウイングの効率を低下させてしまう問題の事だが、 今回のC35では、インダクションポッドのセパレーターが気流を左右へ別け始める辺りで、サイドプロテクター上面が急激に落ち込む。 これはセパレーターからサイドプロテクターの後部へ気流を供給し、上面でリフトが発生しない様にしていると解釈できる。 そしてまさにその位置で、インダクションポッドの左右にカメラを装着しており、気流を制御しようとしている試みが見て取れる。
排気管はメインが上側で、ウェイストゲートは下側に2本。
C35で珍しいのは、リヤウイングステーは2本で、逆ハの字となって中央で接近させている点だ。
翼端板の外側にはたくさんのフィンが着いているが、これはガーニーフラップの役割も果たしているかもしれない。
総合して観ると、中堅チームのマシンとしては可もなく不可もなくという感じだろうか。 (このページの最新更新日:2016. 3.01火) |
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