ザウバー C36 text by tw (2017. 2.20月)
そして2017年 2月20日、新車「C36」を公開した。
この新車の概観は、F1通信 等を参照。以下、車体の概観から筆者の私見を記す。
しかしC36の空力面で最も影響を及ぼしている部分は、サイドポッド後部が非常に高いパッケージとしてある事だ。
(*これで、2017年のテクニカルレギュレーションでも、ロワウイングが禁止されている事がほぼ確実となったと見れる。)
これはリヤウイングの効率よりも、ディフューザーの効率を重視する考え方で、ザウバーの昨年のマシンと真逆のアプローチだ。
フロントサスペンションのハの字マウントは今のF1マシンという意味では常識的な角度だ。
(つまり古くからのクルマのサスとしての設計を完全に無視しているのが10年前からのF1の常識だという意味。)
前輪のブレーキダクトは非常に小さく、冬のテストでもこのサイズで十分なのか不思議なくらいだ。
サイドディフレクターは久々に観る、大きめの3D形状。
ディフレクターの高さは低めだが、前後長は実用的なサイズだ。
サイドポッドのエントリー位置は前方から始まっている。この位置はできるだけ空力的な理由から決めたいが、
先日のウイリアムズも同じ様な位置である事から、今季の側面衝突規定をクリヤする為にはこの位置となるのかもしれない。
尚、車体を上から観ると、新規定で、サイドポッド前縁が外側へと後退している。
サイドポッド前部は全体に囲いのベーン(ポッドウイング)があり、下部は2枚構成で気流を細かく制御している。
コークボトルラインは下部を狭め、上流と下流を明確に別けている。
後輪手前のアンダープレートには背の低いベーンが、少なくとも2枚づつ見えるが、
これは外側へカーブしている様だ。この空力の解釈が正しいのか興味深いところだ。
リヤサスペンションの上下ウィッシュボーン位置が高く、下流を重視している。
具体的には、ディフューザーの気流の抜けを阻害しない様にする配置だ。
エンジンカバーは全体的に斜めの造形で、近年流行りつつあるタイプの形状だ。
これはサイドプロテクターの後流で発生しがちな有害な渦を整えようとしているのかもしれない。
エンジンカバーは噂に上がっていた大きなシャークフィンを装着している。これはリヤウイングが低くなった事の対策だ。
コーナリング時にインダクションポッドを乗り越える気流が渦を巻いてしまうので、それを真っ直ぐにしてリヤウイングへ流す意図だ。
リヤウイングはスワンネックで支えている。(ロワウイングが禁止されている証拠。)
リアウイングの翼端板は複雑なカーブを描いている。
これは単純な要素としては、翼端板と後輪との干渉抵抗を軽減する狙いがあるが、
リヤウイング後方へ向かっても湾曲しているので、リヤエンドの後流全体を意図した流れへとまとめあげる狙いがあるのだろう。
昨年までは翼端板を自由にデザインできる幅が20mm以内であったが、
新しい今季のテクニカルレギュレーションで、この自由な幅が拡大された様だ。
しかし個人的には、このC36はクエスチョンだらけだ。
これがこのまま競争力を持ってまともに走るのか、ちょっと興味がある。
ドライバーは、マーカス・エリクソンと、新加入のパスカル・ウェーレインが勤める。
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