ザウバー C37 text by tw (2018. 2.20火)
ノーズ下面の気流をノーズ上面へと引き抜くノーズホールを新たに採用し、ノーズ下の気流の境界層の成長を軽減している。
フロントサスペンションは昨年のメルセデスのアイディアを取り入れ、アッパアームがホイールの外の高い位置にある。
これにより、車体下部の気流がよりクリーンにできる。
タイロッドは上下ウィッシュボーンの中間の高さにレイアウトされたが、ロワアームとツライチにしても良かったのではないか?
サイドポッド両端前側の縦のベーンは3枚構成で、それぞれ湾曲した別々の形状としており、このエリアで細かく空力開発された跡が観える。
ここの流し方で、アンダープレートが左右から吸い込んでしまう気流の状態をチューニングでき、空力性能寄与率の高いエリアの一つだ。
モノコック側面の上側クラッシャブルストラクチャーはやや下へ移動させ、サイドポッド上面が盛り上がらない様に工夫された。
これは従来発生していたサイドポッド前部のリフトを軽減する効果があり、評価できるアイディアだ。
これにより、サイドポッドの背丈は、内側が高く、外側が高い、独特なデザインとなった。
ただしサイドポッド側面のアンダーカットのえぐりは浅く、ここは他チームの様な大胆さはない。
インダクションポッドのエアインテーク部分は複雑な立体形状となっているので写真を要参照。
もしかするとこれは剛性面で有利な形状なのかもしれないが、空力的には懐疑的な形状だ。
特に、コーナリング時の旋回流をインテークに取り入れる際に、中央の柱が邪魔になりそうなのだが…。
リヤウイングのステーはスワンネック式で2本。
ウェイストゲートバルブの排気管を避ける為に、ステーの間隔はやや広く離されている。
ディフューザー中央部は、レギュレーションで許される狭い範囲で積極的に気流を跳ね上げる渦流を生成する3枚のフラップが観える。
ここを跳ね上げる形状としても、見た目ほどディフューザーの気流吸い出し量は変わらないと思うが、少しでもゲインが欲しいという姿勢だ。
しかしディフューザーの高さは、外側部で斜めに下がっており、この形状に筆者はやや懐疑的だ。
レギュレーションで許される最大の跳ね上げ形状とすれば、車体底面の気流をもっと吸い出せるのではないのか?
リヤクラッシャブルストラクチャーの上面のラインは、テールライトから後方へ気流跳ね上げる新しい構造物が見える。
C37は昨年のC36とは打って変わってポテンシャルの高そうなマシンに仕上がっているが、
まだまだサイドポッドのボリュームは絞り込めそうだし、まだ下位チームなのかなと感じるところがある。
ドライバーはマーカス・エリクソンと、2017年のF2王者でフェラーリの育成ドライバーのシャルル・ルクレールのペアだ。
Alfa Romeo Sauber C37 Ferari スペック | |
---|---|
全長 | 5550 mm |
全幅 | 2000 mm |
全高 | 950 mm |
フロントトラック | 1650 mm |
リヤトラック | 1550 mm |
質量 | 733 kg (ドライバー、オンボードカメラ、バラスト込み) |
サスペンション | フロント:プッシュロッド、リヤ:プルロッド |
ブレーキ | ブレンボ社キャリパー、カーボンインダストリー社ディスク&パッド |
クラッチ | カーボン製 |
トランスミッション | フェラーリ社 8速+リバース1速 クイックシフト |
ギヤボックス | 縦置きカーボン製 |
ERS | フェラーリ社 |
ホイール | OZ社 |
Ferari社 パワーユニット | |
---|---|
排気量 | 1.6リッター |
気筒数 | V型 6気筒 |
バルブ数 | 1気筒あたり4バルブ |
ボア | 80 mm |
ストローク | 53 mm |
最大回転数 | 15,000 |
過給 | シングル ターボチャージャー |
最大燃料流量 | 100 kg/h |
レースの燃料量 | 105 k以内 |
燃料 | 燃焼室 直接噴射 |
バッテリー出力 | 4 Mj (1周あたり) |
MGU-K 出力 | 最大120k W |
MGU-K 回転数 | 50,000 rpm |
MGU-H 回転数 | 120,000 rpm |