2005年10月2日にMEGA WEBにて行われたトヨタのF1イベントで、
TF105の実車を観察する事が出来たので、いくつかの気付いた点とその考察を記す。
トヨタは今シーズン中盤からサイドポッド手前の下部は、旧ボーダーウイング形式ではなく、2つのボーダープレートに分けた複雑な形状としている。 この辺りは車体下面へ吸い込まれる気流に大きく影響を及ぼす部分で、空力性能を発揮する為に非常に重要な部分となっている。
そして外側のプレートの上方には、サイドポッド上面と側面の流れを制御するアッパーカナード(赤色)を備えている。 このTF105で筆者が疑問に感じたのは、細かい部分だが、サイドポッドからアッパーカナードを支持する板(黄色)の部分で、アッパーカナードと板との上下間の隙間が狭過ぎる様に思う。 この部分が狭いと、支持板の前端部分が低圧となる筈だが、これは狙った設計なのだろうか? ラジエーターインテークの縁は全体的に丸みがつけられ、ここへ向かう気流の変動に対して穏やかに対応している。 |
(車体を下から見た時の、 筆者の気流推察イメージ。) |
赤は、ステップ側面の高速流を示す。
赤で示した流れは、現代F1での車体のダウンフォース発生における最重要部分であると思われる。この部分で獲得するダウンフォースは、最も空力効率(=いかに少ない空気抵抗で大きなダウンフォースを発生できるか)が優れていると思われる。 |
(左:ノーズコーンを取り外した時の様子。)
左右のトーションバースプリングを、モノコック前端で固定する位置は高い。(モノコック前面上部の角にある銀色の部品) |
左右のロッカーは、車体中心近くまで延びている事が確認できた。 これはプッシュロッドとダンパーとのレバー比を大きくとる為。 左右のダンパーは斜めにレイアウトされ、モノコック下角で力を受けている。 左右のロッカーが車体中心近くまで有るという事は、ステアリングシャフトはロッカーよりも下側を通っている筈である。 アンチロールバーのとピッチングダンパーの概観は確認できなかった。 |
その他の目についたポイント。
・前輪内側に設置された、背の低いディフレクターは、後端に縦のガーニーを装着している。
・エンジンとコークパネルの隙間は非常に狭く、コークパネルが排気管と当たりそうになる箇所のカウルには逃げの膨らみがある。
これだけカウル内が狭いと、ラジエーターからの排熱はかなりの量がチムニーから排出されていると思う。やはり立体で観察すると得られる情報量が多い。
・リヤサスのピッチコントロールダンパーは径が太めで色は黒。コイルスプリングの装着有無は確認できなかった。