今(2010)年からF1へ新規参戦するヴァージン・レーシング・チームだが、
元々はジョン・ブースにより「マノーGP」としてエントリーしていたが、
リチャード・ブランソン率いるグループ企業に買収され、「ヴァージン・レーシングと」名称を変更した。
そしてこのチームは、ロシアのスポーツカーメーカーのマルシアがブランド宣伝の為に利用する。
両社の契約は、VR-01に搭載するコスワース製エンジンを「マルシア」のブランドとし、
マシンの正式名称を「ヴァージン−マルシア」とするとの事。
コスワース社は、エンジン名を譲る価格として 150万ポンド(約 2億2線万円)を要求している様で、
そしてヴァージンチームにも 150万ポンドを要求する可能性がある。
ヴァージン・レーシングの2010年用マシン「VR-01」は、
風洞を使用せずに CFD(コンピュータ計算流体解析)のみでデザインされたと云う。
これは低コストでマシンをデザインする事が出来るが、現代の CFD ではまだ渦流の計算が困難で、リスクはかなり高いと思う。
チームのドライバーはティモ・グロックとルーカス・ディ・グラッシ。
そして 2010年 2月03日、「VR-01」が公開された。 写真はGPUpdate.net等を参照。
空力アイデアのトップデザイナーであるロリー・バーン(現在は隠居?)やアドリアン・ニューエイは、
図面に手書きでマシンをデザインする。これは発想に制限をかけなくする為だ。
ロリー・バーンは実寸代の巨大な図面を使用していたと云う。
(実はバーンはコンピュータの使い方がよく解らなかったという理由もある。)
生まれた時からコンピュータで絵を描く世代になって初めて、
コンピュータでデザインしても発想の制限がかからなくなると筆者は考えている。
上から見るとフロントサスの前側アームの角度が浅く、前輪に対してモノコックが後ろ寄りである事が判る。
よってホイールベースは長めとなっている筈である。
フロントウイングの下面には、左右に2枚づつ、計4枚のスプリッターが設置され、気流進路を制御している。
ノーズ側面のダミーカメラは、フロントサスの上側アームの手前に水平に搭載し、無難な位置だ。
写真サイドポッド上面前端の高さは、最近のF1では珍しく、550mmよりもほんの僅かに低い様だ。
サイドポッドの最大高を低くするとリヤウイングへの気流供給量が増すが、
前輪が巻き起こす乱流をサイドポッドで整流できる量は低下する。
このマシンで筆者が懐疑的な点は2つあり、まずはフロントウイングだ。
メインウイングの両端がほとんど持ち上げられてはおらず、
これでは左右からウイング下方へ影響する気流に敏感になってしまうと思われる。
翼端板の底面プレートも気流変動の対策はほとんど見られない。
フロントウイングは今後改善される余地が多くあると思う。
もう一つの懐疑的な部分は排気管の出口の位置だ。この位置では後輪に高熱が当たってしまうのではないだろうか?
ヴァージン VR-01: スペック (技術仕様) | |
---|---|
タイヤ | ブリヂストン社製 ポテンザ |
ホイール | BBS社製 |
アップライト | ヴァージン レーシング製、アルミニウム合金 |
ブレーキ・キャリパー | APレーシング社製、6ポット・キャリパー |
ディスク/パッド | ヒトコ社製、カーボン製 |
ダンパー | ペンスキー社製 |
ギアボックス | ヴァージン レーシング製、アルミニウム製、7速、縦置き、内部: Xtrac社製 |
ディファレンシャル | 電子制御式油圧ディファレンシャル |
ギア選択 | パドル作動性 油圧シフト、シームレス・シフト |
クラッチ | APレーシング社製 |
全長 | 約5500 mm (注: あくまで公表値) |
全高 | 約 950 mm |
全幅 | 約1800 mm |
ホイールベース | 約3200 mm (注: あくまで公表値) |
燃料タンク | TF5 安全仕様 |
パワーステアリング | ヴァージン・レーシング製油圧ステアリング・アシスト |
シートベルト | 6点支持ハーネス (HANSシステムつき75mmショルダー・ストラップ) |
ECUおよび記録システム | FIA標準ECUおよびFIA認証電子・電気システム |
Site TOP | ヴァージン レーシング |
---|