今(2012)年から、チーム名称が昨年までの「マルシァ・ヴァージン・レーシング・チーム」から、「マルシャ」と変更された。
このチームの立ち上げ時のコンセプトは、風洞を使わずに、CFD(コンピューター・フルード・ダイナミクス)のみを駆使し、
マシンの開発コストを大幅に軽減する、というものだったが、
彼等は(現代のCFDでは)まだそれは無理なのだと昨年中にようやく分かった様で、
2012年用マシン「MR01」の開発は風洞でも作業を行った様だ。
そして「MR01」はFIAの最後のクラッシュ・テストに合格できなかった為、マルシアチームはテスト走行無しで開幕戦を向かえる事になった。
今回 3月05日に「MR01」はシルバーストーンに持ち込まれ、現在 2日間のテスト走行が行われている。
ただし、これは宣伝用のトラック走行と見なされる為、
使用するタイヤはピレリの2012年スペックではなく、デモ用タイヤを装着しなければならない。
これではマシンのパフォーマンス・データは摂れないが、各システムの作動チェックは行えるので重要な2日間となる。
では「MR01」の写真は、F1通信 等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。
ノーズ先端は低く、車体下方への入力流量は少ない。
ノーズ上面は、コクピット開口部からノーズ先端へかけて、全体的にほぼストレートに前傾している。
ノーズ上面に段差は無いが、フットボックス上面両端の「コブ」はある。これはおそらく規定内でモノコック下面両端の角を削る目的だろう。
フットボックス下方には気流進路制御パーツが確認できる。
フロントサスのバネ下は普通に現代風な造りで、タイロッドはアッパーアームより下側にある。
これは数ミリでもフロントのロールセンターを高くさせない為で、
アッパーアームのアップライト側取り付け位置を、円形の前輪ホイール内の出来るだけ高い位置にする為だ。
これにより操舵するタイロッドは必然的にアッパーアームより低くせざるをえない。
だがタイロッドとアッパーアームを「ツライチ」としなくても、見た目ほど空気抵抗にならないらしい。(過去の某誌にてD社エンジニア談)
現時点ではエンジン排気管エンドは、サイドポッド上面のやや前寄りにある。無理に吹きつけ効果は狙ってはいない様だ。
ラジエーターを通過したエアは、レッドブルが先鞭をつけたギアボックス上側の中央大砲排気となっている。
現在のリヤウイング規定では、下段ウイングと上段ウイングの間に大きな空間があり、このエリアは空力感度が鈍い為、
そこへ遅く且つ乱れた熱気の排出ルートとする考え方だ。
リヤサスはトレンドに乗ってプルロッド化された。これによりギアボックス上方にエアフロー空間を確保できる。
リヤウイングは昨年までのロワウイング・スワンネック型から、上段ウイングから中央ステー1本へと変更された。
これにより空力的には若干不利だが、剛性/重量面は都合が良いだろう。
尚、マルシャチームは今季もKERSを搭載せず、エアロダイナミクスやビーグルダイナミクスの純性能向上の方に主眼に置いている様だ。
KERS無しではレースでの追い抜き/ディフェンスで不利だが、それよりも下位チームではラップタイム短縮へリソース注入するのが正解だろう。
Site TOP | マルシア ヴァージン レーシング |
---|