マノー MRT05   text by tw  (2016. 2.29月)

マノーのニューマシン「MTR05」は、2016年 2月22日頃からテストで走り始めた。
このチームは今(2016)年、メルセデスのパワーユニットとなり、
ウィリアムズのトランスミッション&リヤサスペンションを搭載する。

この新車「MR05」の写真は、F1-Gate.com 等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。



残念ながら、2年ぶりの新車がこれなの?という造りだ。

フロントウイングのカスケードは直線的で芸が無く、昨年からの流用かもしれない。
車体の進化に合わせたフロントの後流としなければ空力の性能は十分に発揮できないので、もし流用ならF1レベルにはない。

チームは今季ショートノーズの導入予定はないとコメントしており、空力性能にそれほど大きな違いは見られなかったとの事だが、
少しの違いでも追及するのがF1であるし、風洞やCFDでそれほど差が出なかったのならば、そもそも空力データの取り方が怪しいのではないか?

そしてノーズ下からフットボックスへかけてのラインは一筆書きとなっておらず、段々の形状となっている様だが、
これではフロントウイングの抜けと、車体下方へ供給する気流の運動エネルギーを損なってしまうかもしれない。

最もダイレクトに空力性能面で問題になるかもしれない部分は、モノコック下のディフレクターが見当たらない事だ。
これは前輪が巻き起こす乱流の整流効果と、車体下方へ気流を転換させる力をここで発生できないが、致命的ではないだろうか?

フロントサスペンションのウィッシュボーンは、前から見てハの字の角度が強く、フロントロールセンターが高い。
アッパーアームの後傾が弱くほぼ水平で、どれくらいアンチダイブジオメトリーを検討したのか怪しい。

サイドポッド前部を囲うベーンは上部が間隙しているが、昨年もこのタイプを使用しており、進化の跡は見えない。
サイドポッド上面前端には、リフトを抑制するフィンがようやく着いた。
サイドポッドは高いが、L/Dの向上の為と云うよりも、冷却性能の安全を取っている様に見える。

ミラーのステーとその前後のフィンは、リフト方向の翼断面だが、
ここは正圧域とするとミラー後方の気流進路に収拾がつかなくなるので負圧域としているのだろう。

サイドプロテクターの頂点から下がり始める箇所には、三角形のフィンが着いている。
インダクションポッドは荷重テストに合格する様に造ったらこうなったという様な形状で、空力を優先したという雰囲気ではない。

バックショットを捉えた写真は入手できなかったので今回はここまで。

テクニカルディレクターはジョン・マキリアム。
チーフエアロダイナミシストはフェラーリからニコラス・トンバジスが移籍して来ている。
更に2014年にフェラーリから解雇されていたパット・フライも加入しており、エンジニアリングのコンサルタントを務める。
しかし新車の出来を観る限り、今(2016)シーズン最初から力を発揮という訳にはいかないだろう。
テールエンダー脱却なるか難しいマシンだが、シーズン中の進化が無い場合、ハースに食われるかもしれない。

ドライバーはパスカル・ウェーレインと、リオ・ハリアントが務める。

(このページの最新更新日:2016. 2.29月
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