ウイリアムズ FW33   text by tw (2011. 2. 2水)

2011年 2月1日、ウイリアムズの2011年用のマシン、「FW33」が公開された。
テクニカル・ディレクターは、サム・マイケルで、彼は数年前から将来有望なエンジニアと見られている。
新車「FW33」の写真は、ESPN F1 ニュース速報 Live等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。



今年のトレンド通り、ノーズ先端は非常に高い。幅も広く、カメラと一体化の手法は昨年同様。
ハイノーズ下側の空気を上手く下方へ導くには、ノーズは幅広の方が安定するだろう。

フロントウイングは、メイン・エレメントの両端の持ち上げが低く、翼端板のトンネルも小さい。
外側からウイング下(=低圧域)へ侵入して来る気流の配慮に消極的な感じを受けるが…。

前輪のブレーキ・ダクトは縦長で幅の狭いタイプで、
前輪が巻き起こす乱流の影響から充填効率は良くなさそうだが、ダクト本体が発生源となる空気抵抗は少ないと思う。



フットボックス下側のセパレーターは、かなり前方から始まっており、その中にバッテリーか何かを内蔵しているかもしれない。

リヤビュー・ミラーは低い位置にあり、サイドポッド上面前端のRで上手く整流できていそうだ。

横から見て、サイドポッド上面は後方へ急傾斜しており、リヤウイングと連携して、車体全体で大きな凹カーブを描いている。
車体上面が凹カーブを描く事により、車体上面の気流は流速が低下、=圧力が上昇し、ダウンフォースとなる。
車体底面で得られる空力効率と比べれば、車体上側での空力性能の取り分はかなり少ない筈だが、
高さ75mmしか跳ね上げられないディフューザーの規定下では、僅かな取り分でも無駄にしたくないところだろう。

ヘッドレストとサイドプロテクターの間には溝があり、その付近のリフトの発生を軽減している。

インダクションポッドのカウルは、レギュレーションで必要な面積を満たす為のフィンが付けられており、
どうやらシャークフィンは使わない考え方の様で、余計な物はなるべく付けたくない感じが見て取れる。
それは、空気の粘性の影響で、リヤ・ウイングへ向かう気流の流速(運動エネルギー)を減少させたくないのだろう。

エンジンカウルの後部は、横方向、内側へと狭め込んでおり、
上面下降に起因するリフトを発生させたくない意図が見て取れる。



リヤサスはプルロッド式となり、車体後部のエリアをとにかく低める努力がなされている。
特に、デフを収めるファイナルドライブ・ギヤは、異常な程までに低く置かれており、
もしかするとこの部分を低める為に、ファイナルドライブ・ギヤの直径を小さくしてあるかもしれない。
今季からマルチ・ディフューザーが禁止された事で、
ディフューザー上面に構造物がぴったりくっ付いていても空力的に損失は無い訳だ。
あまりにこの部分が低い為に、リヤのロワウイングの中央部を上下逆V字型にする必要すらなくなっている。

ただし、非常に低いファイナルドライブ・ギヤから後輪へ向かうドライブシャフトには大きく角度がついているので、
3ローラー・ジョイント(←となっていると思う)とスライド機構の磨耗と抵抗は大きい筈だ。

筆者が入手している写真からはリヤサスのロワアームとトラックロッドが確認できないが、
アッパーアームがほぼ水平となっているのはジオメトリー上、疑問は残る。

全体的に攻め込まれた感じが十分見受けられ、昨年より期待の持てるマシンとなっていると思う。

(このページの最新更新日:2011. 2. 2水
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