ウイリアムズ FW36   text by tw (2014. 1.24金)

昨(2013)年、ウィリアムズ・チームは僅か5ポイントの獲得でコンストラクターズ選手権を9位で終えてしまったが、
今季はパット・シモンズをチーフテクニカルオフィサーとして迎え、パワーユニットをルノーからメルセデスへと変更した。
ドライバーは、フェリペ・マッサとバルテリ・ボッタスが務める。

2014年 1月24日、ウイリアムズのニューマシン「FW35」のイメージCGが公開された。
そのイメージCGは、F1通信 等を参照。
写真ではなくあくまでイメージCGなのでどこまで信用できるか判らないが、以下、概観から筆者の私見を記す。



まずノーズ形状だが、先端がアリクイの様にされ、狭い中央部が前方へ、低く飛び出ている。
これは今季からの規定で、ノーズ先端高はリファレンスプレーン(車体底面)から 185mm より低くと定めされた事の対策だ。
尚、合法か否か判らないが、筆者はこんな対策案を持っている。



「FW35」の空力コンセプトはハイ・モノコック仕様だ。
こうする事で、モノコック下部の空間を大きくでき車体下方へ多くの気流を供給できる。
且つ、モノコック下部のセパレーターの上下高が、ロー・モノコック仕様の様に狭くならずに大きくとる事が出来、
サイドポッド両側下部へ向けて多く気流を向ける事ができる。

「FW35」はモノコック下部のセパレーターは前寄りから始まる。これは中に何かを内包しているかもしれない。

ハイ・モノコックの空力コンセプトだが、これは結果的にサイドプロテクターの隆起を低く抑える事が出来る。
車体底面からサイドプロテクターまでの高さは、ハイ・モノコック仕様でもロー・モノコック仕様でも同じなのだが、
ハイ・モノコック仕様ではコクピット側壁が高い為、結果的にサイドプロテクターの隆起量が低くなるのだ。



今季から規定でモノコックのフットボックス部が低くされたにも関わらず、
フロントサスの上下アームは「ハの字」のままだ。
サスペンション・ジオメトリー的には、なるべく上下アームの角度を水平に近づけるべきなのだが、
この部分は、後日のテスト走行の写真であらためて構造を確認したい。



「FW35」の筆者の懐疑点は、エンジンエアインテーク下部のセパレーターが後ろ寄りな事で、これは大いに疑問に思う。
インダクションポッド・エンジンカウル後縁の左右の合流地点は、なるべく前方で終結させておかないと、リヤウイングへの気流が乱れてしまうからだ。



今季の注目ポイントであるエンジン排気は、「FW35」では中央のミニウイングと連携させてある様だ。
現時点のCGでは詳細な形状がよく判らないが、ミニウイングの上方へ排気を吹きつけているのか、
または排気管の両サイドにミニウイングを装着する、内部吹きつけのどちらかだろうか。
尚、今季からの規定で、排気管エンドの後ろ側にボディワークがあってはならない。

ところでCGでは肝心の“リヤウイングの支柱が見当たらない”。 リヤウイング翼端板の下端とサイド・ディフューザーを合体させて支えているのだろうか?

余談だが、リヤウイングの支柱を撤廃し、ディフューザー・サイドでリヤウイングを固定するアイディアは筆者も1992年頃に考案している。
ただリヤウイングの受けるドラッグ(空気抵抗)と巨大なダウンフォースを、ディフューザーでは支えられないだろうとボツにした記憶が確かにあるのだが。

リヤウイング翼端板の下縁の、気流を外側へ導くフィンはトレンド通りで、ディフューザー上面の高圧流のみを受け、
ディフューザー下面の弱々しくなった気流には干渉しない様に配慮されている。

(このページのここまでの最終更新日:2014. 1.24金 20:04
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