ウイリアムズ FW43

text & illustration by tw (2020. 2.18火〜2.19水)

2020年 2月17日、ウイリアムズのニューマシン「FW43」が公開された。

エンジニアリングチームは、まずテクニカルチーフだったパディ・ロウが離脱した。
そしてレッドブルに居たデビッド・ワーナーがチーフデザイナーとなり、
ルノーに居たジョナサン・カーターを副チーフデザイナーを務める。
この2年間、どん底状態であったウイリアムズだが、今シーズンは状況を改善できるのだろうか?

新車FW43の写真は F1通信 等を参照。 以下、車体の概観から筆者の私見を記す。



シェイクダウンの写真を観るとレイク角が強い事から、ハイダウンフォースの空力コンセプトとなっていると想像できる。

フロントウイング翼端板下部のトンネルは、後端に垂直のガーニーリップ付き。

フロントサスペンションのアッパーアームは、アップライトから上方へブラケットを伸ばすハイマウント方式で、
昨年中盤からのレーシングポイントの様に、Vの字に、ホイール側から車体側へ向けて角度が少しだけだが下がっている。
これはフロントロールセンター高を下げる筈なので、好感が持てる設計だ。



ただし、ステアリングロッドは、上下ウィッシュボーンの中間の高さにあり、余分な空気抵抗を発生してしまっている。
プッシュロッドの車体側取り付け位置は前方の部類。



FW43で最大の空力開発ポイントは、サイドポッドの様だ。
基本的にはレッドブル風の形だが、上面の後傾は非常にアグレッシブで、
よくこの形で内部にラジエーターを収めきれたな、と感心させられるデザインだ。

アンダープレート両端のスリットは後輪手前まで続いており、後端で横方向にも切られ、凝っている。

ただ、このマシンで筆者が疑問なのが、インダクションポッドのセパレーターからエンジンカウルにかけてのエリアが、無駄に太っている事だ。
もしかして、この中に熱交換機がある可能性も? もしそうだと重心高が上がってしまうが…。
頭部保護デバイスのヘイローからの乱れた後流を整流する役割があるのかもしれないし、
極端にラウンドしたサイドポッド上面との兼ね合いなのかもしれないが、それにしてもボリュームがあり過ぎる様に思う。

エンジンカウルには小さな廃熱口が切ってあり、これはメルセデスのパワーユニット上の理由かもしれない。
リヤサスペンションのプルロッドは、ロワアームの前側を通っていて、内部ユニットが前方にある事が判る。
Tウイングは上下2枚構成。

車体のスポンサーロゴを見ると、今年はよりいっそう財政難が心配なウイリアムズだ。
シーズン中のマシン開発はあまり行えないかもしれない。

ドライバーは引き続きジョージ・ラッセルと、昨年リザーブドライバーを務めたニコラス・ラティフィのペアだ。

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