本田技研工業は3月06日にリリースを発表、
同社のF1チームをチームプリンシパルを務めていたロス・ブラウンに売却したことを発表した。
株式は100%ブラウンに売却され、
チーム名称は「ブラウンGPフォーミュラワン・チーム」となった。
エンジンは「メルセデス・ベンツ・ハイ・パフォーマンス・エンジンズ」とテクニカルパートナーシップを締結、
メルセデスFO108Wエンジンの供給を受ける事となった。
ドライバーは昨年に引き続きジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロを起用。
そして同日3月06日、イギリスのシルバーストーン・サーキットで、
ブラウンGPの2009年用マシン、「BGP001」のシェイクダウンが行われた。
写真はGPUpdate.net等を参照。以下、概観から筆者の私見を記す。
しかし同タイプのルノーR29の様に、ノーズ両脇から下方へフェンスを設置してはおらず、
これではノーズ下側の左右から気流がノーズ下へ吸い込まれてしまうと思われ、この点は疑問に思う。
フロントウイングの翼端板周りが凝った工夫が施してある様だが、まだ筆者はよく確認できる写真を入手できていない。
フロントウイングの翼端板周りが凝った工夫が施してあり、
メインの翼端板の外側に更に1枚縦のベーンが設置されている。
これは気流を細かく制御しようという意図だと思うが、
翼端板とベーンの距離が近過ぎている様に思われ、この部分の通路は干渉抵抗が大きそうだ。
そしてフロントウイング両端に設けられた上段フラップは、翼端板には直接取り付けられてはおらず、
メインウイングの上面に独立して立っている。
各部分をここまで細かく仕切ってもラップタイム短縮の寄与は微少だと思う。
BGP001のフロントサスの、タイロッドはロワアームと同じ高さとなっている事が確認できた。
これにより重心高を下げる事ができる。
ただし、モノコック内のステアリング・ロッド自体は若干だが長くなってしまう事と、
ステアリング・ロッドをモノコック内で、斜め下方へと曲げる関節のパーツが増えてしまっていると思われるので、
若干だがステアリング系統の総重量は重くなってしまっていると考えられる。
次は、BGP001のリヤエンド、ディフューザー部分をスケッチで示す。
今(2009)年からの新規定の抜け穴を突いた、巧妙な空力デザインが施されている。
上下2重構造となっているセンター・ディフューザーにより、
サイドポッド底面を高速で流れて来た気流は、
センター・ディフューザー・サイド フェンス両脇の「空いている窓 (黄色い部分)」から、
センター・ディフューザー内部ヘと強力に吸引される。
そして吸引された気流は、センター・ディフューザー内部を通過し、
リヤ・ロワ・ウイング下方の気流と合流し、上方へ噴き上げられる。
こういった手法により、大きなダウンフォースを発生させる事が出来る。
ディフューザーの両脇には大型のガーニーフラップを装着し、後輪の後方へと気流を供給している。
ただし現在のBGP001には筆者が懐疑的な部分が有る。それは、
リヤ・ロワ・ウイング中央部が気流を上方へ跳ね上げる形状となっているにも関わらず、
リヤ衝撃吸収バー上面は、リヤ・ロワ・ウイング頂点から降りる形状となっているのだ。
これでは、この部分の気流は上手く後方へ流せないのではないだろうか。
尚、開幕前から、トヨタ、ウイリアムズ、ブラウンGPが装着しているディフューザーが、
規定違反なのではないかという他のチームからの訴えが起こっており、
上のスケッチで示す、空いている窓(黄色い部分)が規定解釈の焦点となっていたが、
2009年 4月15日、FIA(国際自動車連盟)は、
ブラウンGP、トヨタ、ウィリアムズのディフューザーは合法であるとの裁定を下している。